モバイルデバイス管理 MDMサービスが担う攻めと守り
序章
ひろがる! 医療現場のスマホ活用
安心の“要”MDMに注目

モバイル端末が生活や仕事のあらゆる場面で用いられるようになっているが、その一方で「モバイル端末間でやりとりされる情報の保全」が課題として浮上している。従来のように回線を遮断することなどによって外部からの侵入を防ぐといった物理的手段は考えづらい。その解決手段として活用されているのがモバイル端末を遠隔で管理するMDM(Mobile Device Management)サービスだ。そのトップシェアを誇る株式会社アイキューブドシステムズ(福岡市中央区、佐々木勉 代表取締役社長 CEO)の「CLOMO(クロモ)」が今、医療界で熱視線を集めている。

アイキューブドシステムズ CLOMO

ビジネスシーンから医療現場へ

2001年に設立、ITシステムのソリューションやSEO対策を事業の柱としていた株式会社アイキューブドシステムズが、スマートフォンやタブレットPCなどモバイル端末の遠隔管理を行うMDM(Mobile Device Management)サービスに乗り出したのは10年前のことだ。iPhoneの日本上陸は08年だが、その1~2年後にはビジネス活用が進むようになった。
この動きを背景に、企業側での安全や運用管理への関心も高まり、いち早く活用を始めた大企業を中心にMDMも注目される。当時を振り返って林正寿取締役はこう語る。

「スマホが法人のビジネスシーンでも使われるようになり、情報の扱いも慎重さが求められるようになりました。『いつでもどこでも、情報にアクセスできて便利だけれど、セキュリティは大丈夫か』という声が高まったのです」。

林正寿取締役

林正寿取締役

呼応するように、iPhoneを開発したApple社の日本法人がMDMサービスを手がける事業者を公募、これに応じたのが同社だった。

9年連続シェア1位の「CLOMO MDM」

同社はわが国における「MDMの先駆者」とも言えるが、そうして誕生したのが「CLOMO MDM」だ。
現在約125億円といわれるモバイル管理市場において9年連続シェア1位を誇る「CLOMO MDM」は、遠隔で①利用状況を把握できる、②端末のパスワード設定やカメラ機能・アプリの利用を制限・設定できる、③端末を盗難されたり紛失したりした際はロック機能をかけたり、端末内のデータを強制消去できる、④アプリの配布・管理を一括でできる――といった機能を備えている。
かつ、特別な知識やトレーニングを必要としない使いやすさ、堅牢なセキュリティ機能を備えている点も評価されている。

専任のサポートチームも控えるが、林取締役は「運用が始まってしまえば、トラブルやサポート等でお客様のもとへ訪問することはほとんどありません。むしろITに詳しくない方々でも直感的に使いこなせるというご評価をいただいています」と語る。

こうした特徴から一般産業界はもちろん、公共施設の運営事業体や文教施設からの引き合いも多い。テレワーク普及の加速により問い合わせも増えているという。
そんな「CLOMO MDM」の導入が急速に広まっているのが、医療界だ。

※出典: ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望」2011~2017年度、「ミックITリポート2020年1月号」2018年度出荷金額実績および2019年度出荷金額予測

医療現場特有の課題も熟知

医療現場でのモバイル活用は以前から一部の先進的な医療機関での導入は進んでいたが、18年以降は部分採用を含めた導入を試みる病院が急速に増え始めている。

背景には医療機関向けサービスの開発を病院との二人三脚で進めてきたこともありそうだ。
慈恵会医科大学附属病院は14年から約3500台のスマートフォンを導入して活用法の研究を進めていたが、その研究チームに参加する企業の一つが同社だった。同院では医療者間のコミュニケーション促進や看護師の働き方改革などを主眼に置いていたが、患者情報を扱うことになる以上、MDM対策は必須だった。
そこで同社がMDMを担当、現場の要望や他分野のIT企業との議論も踏まえながら、「CLOMO MDM」の性能に磨きをかけていった。まさに「医療現場で揉まれた」サービスなのだ。

そこへ▽医療提供の舞台が院内にとどまらず訪問看護・介護など、院外にも広がり始めていたこと、▽スマホの電波が4Gになったことからそれまで懸念されていた患者への電波の影響がほぼなくなったこと、▽PHSサービスが21年1月での終了が発表されたこと――が重なり、スマートフォンの導入が一気に進み、合わせてMDMも採用されたわけだ。

情報の「守り方」は変わりつつある

「ITネットワークに乗る情報の『守り方』は変わりつつあります」と、営業本部の貞方耕三氏は訴える。

従来は院外に情報を持ち出さない、院外からのアクセスも制限するという守り方が主流だったが、VPN(Virtual Private Network、仮想プライベートネットワーク)を組み込むといった「新しい守り方」が注目されているというのだ。
病院のなかには電子カルテの閲覧に用途を限定したスマホを支給している病院もあるが、こうなると院内通話用のPHS、カルテ閲覧用スマホ、外部との通話用のスマホという3台を常時携帯することになる。

「物理的な手段に依拠した守り方はそろそろ見直すべきでしょう。その手段としてMDMをご検討いただきたいです」(貞方氏)

貞方耕三氏

営業本部の貞方耕三氏

すでに救急医療現場では、当直医が離れた場所にいる専門医のスマホにCT画像を送り、コンサルテーションを求める光景が見られるようになっている。その画像が第三者の目に触れないようにする方策がMDMなのだ。医療の質を高めるための「縁の下の力持ち」としても注目する必要がありそうだ。(『最新医療経営 PHASE3』2021年1月号)

株式会社アイキューブドシステムズ

所在地:〒105-0013 東京都港区浜松町1-27-26
浜松町DSビル9階
TEL:03-6450-1880
URL:i3-systems.com
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