社会保障短信(10月10日号)
医療・介護福祉など社会保障関連の情報をお届けします。
◆トピックス…厚労省が「病院の受療行動調査」を公表
◆ひとこと…救急機能の集約化について
◆今週の数字…42.2%
トピックス:厚労省が「病院の受療行動調査」を公表
▼情報入手路で「ネット」存在感
厚生労働省は9月20日、「令和5(2023)年受療行動調査(概数)の概況」を公表した。この調査は3年ごとに実施している。全国の一般病院を利用する外来・入院患者を対象に行われ、有効回答数は10万3772人。
普段、医療機関にかかる時の情報の入手先として多く挙がったのは入院、外来ともに「家族・友人・知人の口コミ」が最も多く、外来で68.4%、入院で66.7%に達した。次いで外来では「医療機関が発信するインターネットの情報」が28.8%、入院では「医療機関の相談窓口」が24.0%となっている。
また「医療機関・行政機関以外が発信するインターネットの情報(SNS、電子掲示板、ブログの情報を含む)も外来で18.1%、入院で14.4%とそれぞれで3番目の多さを占め、後に続く「医療機関の看板やパンフレットなどの広告」(外来で5.6%、入院で6.7%)を大きく引き離していた。
検索サイト「グーグル」に書き込まれる医療機関に関するコメントについては、仮に書き込み内容が誤っていても消去の対応に手間がかかるといった問題も浮上しているが、情報の入手先として一定の割合を占めていることが明らかになった。対策の議論が今後、さらに白熱しそうだ。
▼大型病院の外来受診は紹介経由
外来患者の最初の受診場所について尋ねた質問では、「最初から今日来院した病院を受診」が51.4%と最も多く、「最初は他の病院を受診」が27.6%、「最初は診療所・クリニック・医院を受診」が18.8%となっていた。
ただし特定機能病院ではそれぞれ25.4%、43.9%、29.3%、500床以上の大病院が35.7%、30.3%、32.3%、100床未満の小病院は66.0%、23.0%、8.7%となっていた。
「最初から今日来院した病院を受診」を見ると、特定機能病院は2020年と比べて4.5ポイント減、大病院は3.3%減となっている一方、小病院は0.1ポイント減にとどまるなど、差も出ている。
コロナ禍の影響も考え合わせる必要があるが、「高度な医療設備を整えた地域の中核病院の受診は紹介を経てから」「小病院の外来は診療所と同じ位置づけ」という流れができつつあると読むこともできそうだ。
▼機能分化が浸透か
入院患者には「今後の治療・療養の希望」を聞いている。「完治するまでこの病院にいたい」が40.8%と最も多く、「自宅から病院や診療所に通院しながら治療・療養したい」が35.1%で続いている。
病院の種類別に見ると、前者については療養病床を有する病院が43.5%、特定機能病院は39.7%。後者に関してはそれぞれ25.5%、47.0%となっていた。また年次推移を見ると前者は低下傾向、後者は上昇していた。
「病院の機能分化」は、患者レベルでも徐々に広まっていると考えられるかもしれない。
ひとこと:救急機能の集約化について
「救急に関して少し心配なところは、集約化の議論は確かに大事だと思うのですけれども、地域によっては、適切に輪番が組まれていて、それによって働き方改革と両立ができているような地域においても、1つの病院だけに集約を強いるとのイメージではないと理解します」
玉川啓
福島県保健福祉部次長(保健衛生担当)
~第8回新たな地域医療構想等に関する検討会
2024年9月6日
今週の数字:42.2%
85~89歳の女性のうち、介護給付を受給している人の割合。男性は28.1%だった。75~79歳は女性8.8%、男性7.8%で、80歳を境に急増していた。(出典:厚生労働省「令和5年度 介護給付費等実態統計の概況」2024年9月26日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)