社会保障短信(9月13日号)

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トピックス…医師偏在是正の対策パッケージを報告
ひとこと…非稼働病床について
今週の数字…11.1%

トピックス:医師偏在是正の対策パッケージを報告

▼3本柱定め2024年度末までに策定実
9月5日に開かれた「第110回 社会保障審議会医療部会」では、「医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案について」が報告された。8月30日の「近未来健康活躍社会戦略」では2024年末までに
①医師確保計画の深化
②医師の確保・育成
③実効的な医師配置
――を柱とした総合的な対策のパッケージを策定し、これらを組み合わせた医師偏在是正にかかる取り組みを推進すると定めている。

▼2027年度に「第8次確保計画(後期)」開始
パッケージのうち「医師確保計画の深化」では、2024年度に都道府県での医師偏在の是正プランを策定、あわせて重点的な支援対象区域を選定する。

「第8次医師確保計画(後期)」について、2025年度にガイドラインを策定、2026年度に計画策定、2027年度に計画開始という工程を組んでいる。

▼政策の「実効性」に焦点
医師の確保・育成では、次の4点を挙げた。

▽医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅拡大、外来医師多数区域の知事権限の強化、保険医制度における取扱い等の規制的手法について、検討を進め必要に応じて法令を改正、27年度に施行
▽臨床研修の広域連携型プログラムを制度化、2025年度に各医療機関でプログラムを作成、研修医の募集・採用を進め、2026年度にプログラム開始
▽中堅以降医師等の総合的な診療能力等にかかるリカレント教育について、2025年度予算を要求、同年度より事業開始
▽医師多数件の臨時定員地域枠の医師少数県への振り替えを検討し、2025年度から医師少数県の臨時定員地域枠を拡充

▼大学・自治体の連携強化も
実効的な医師配置についてはまず、地域医療介護総合確保基金等による財政措置を挙げる。これにより重点的な支援区域の医療機関や処遇改善に対する経済的インセンティブを用意するほか、当該区域への医師は検討を行う中核病院への支援、全国的なマッチング機能等も検討する。これらは2026年度より実施していく。

もう一つは大学病院との連携パートナーシップについて、都道府県・大学病院にヒアリング等を行い、対応を検討する。2025年度に両者と協議してパートナーシップの計画内容を整理し、2026年度の「第8次医師確保計画(後期)」にその内容を反映させ、2027年度に計画を開始する。

▼「開業規制」に踏み込むか
対策パッケージの骨子案に関する主な論点では、「医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の大幅な拡充を検討すべき」「外来医師多数区域における新規開業希望者に対する医療機能の要請等の現行の仕組みをより実効力のあるものとする等の規制的手法について、医療法等による位置づけを含めて検討すべき」「より一層の対応が必要な診療科の医師について、インセンティブを高める方策についてどのように考えるか」などが挙がっている。

管理者要件については、現在は地域医療支援病院の管理者など対象となる医療機関が限られているが、これを診療所にまで広げるという案は厚生労働省内でもかつて検討されたことがある。実質的な「開業規制」とも言え、医師側の反発は大きそうだが、法改正をはじめ、厚労省や国の「本気度」は注目点の一つになりそうだ。

ひとこと:非稼働病床について

「実際に私も地域医療構想調整会議に出ておりますけれども、非稼働病床に関してはほとんど触れないのです。お互いに病院同士でそこをどうするのだとも言えないので、これは人口減でこれからさらに増えていくのではないかと思うのです。いつまでも増えていくような状況で、返すという選択肢は病院としては踏ん切れないところもあると思うのですけれども、でも、実際問題としてこれだけ人口減も出てきておりますので、今後活用されるのは難しいのではないかと思うのです」
望月泉
全国自治体病院協議会会長
~第15回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ 2024年7月10日

今週の数字:11.1%

2024年7月における、オンライン資格確認利用件数のうちの、マイナ保険証の利用率。件数では、それぞれオンライン資格確認の利用件数が2億498万件、マイナ保険証の利用件数は2281万件だった。(出典:第181回社会保障審議会医療保険部会資料「マイナ保険証の利用促進等について」2024年8月30日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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