社会保障短信(8月31日号)

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トピックス…「ナビイ」の充実に向けて議論
ひとこと…地域の医師確保について
今週の数字…48.9%

トピックス:「ナビイ」の充実に向けて議論

▼かりつけ医機能関連の検索機能を充実
厚生労働省の「医療器能情報提供制度・医療広告等に関する分科会」は8月22日に第4回会合を開いた。このなかで、医療機能情報提供制度の報告項目の見直しを議論している。
具体的には2024年4月から運営している医療情報ネット「ナビイ」の運用・活用の強化が焦点となった。

まず7月19日にまとまった「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」報告書で示された、かかりつけ医機能報告に関する情報提供項目の見直し案が紹介された。

報告を求める「かかりつけ医機能」の主な内容としては、
「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」(1号機能)、
「通常の診療時間外の診療、入退院時の支援、在宅医療の提供、介護等と連携した医療提供(2号機能)、
「健診、予防接種、地域活動、教育活動、今後担う意向等」(その他の報告事項)
がある。

これらは情報提供項目として位置づけ、「ナビイ」でも用語解説を作成したうえで、かかりつけ医機能の内容を周知しつつ、「上手な医療のかかり方の周知を行う」としている。

具体的には、かかりつけ医機能に関連する検索機能を追加する。トップページに「かかりつけ医機能で探す」ボタンを追加し、このボタンを押すとかかりつけ医機能に関する検索条件設定ページに移動し、関連項目を検索条件として検索できるようにする。
また、医療機関の概要情報のページでは、かかりつけ医機能はタブを追加し、関連する事項をまとめて閲覧できるようにする。

▼定期報告率は都道府県でばらつきく
「ナビイ」の4~6月期運用状況も報告された。それによるとページを閲覧した回数(ページビュー、PV数)は、4月第1週目で143万7983PV、5月第1週目で102万5604PV、6月第1週目で174万4843PVとなっている。訪問者数は4月第1週目で11万4952、6月第4週目で11万8233と、PV、訪問者数とも横ばい傾向が見られた。

また医療機能情報提供制度における2023年度の定期報告率は全国平均で73.5%。都道府県別では、秋田県、佐賀県、熊本県が100%である一方、沖縄県は27.3%、石川県は42.1%、鹿児島県は46.5%とばらつきがある。
都市圏の東京都は62.6%、愛知県は76.3%、大阪府は71.2%だった。このあたりの足並みのばらつきも今後の課題になりそうだ。

▼障害者向け情報提供を強化
障害のある人に関する医療機能情報提供制度の報告事項見直し案も示され、「ナビイ」のトップページにおける「障害児・者、難病患者」の利用区分に関連項目を追加する内容を加えるという。具体的には次の項目が上がった。

▽障害者向けの駐車場の台数、
▽案内用ホームページのアドレスURLでのJIS規格への対応状況、
▽入院可否における家族・介助者の宿泊環境の有無と特記事項、
▽障害者に対するサービス内容(意思疎通の対応、文字による対応、外来受診時における配慮、本人・家族向け相談窓口、職員研修の実施)、
▽バリアフリートイレの設置、
▽ソーシャルワーカーの配置人数、オンライン診療実施の有無とその内容、
▽かかりつけ医機能、
▽褥瘡の治療、
▽ロービジョンケア、
▽脊椎損傷の治療、
▽性別不合、
▽医療的ケア児等への定期的訪問診療、
▽精神科領域の在宅患者訪問診療、
▽障害福祉サービス事業者との連携

既に初診時にはインターネットでの情報収集が一般的になっているが、その内容は玉石混淆との指摘も多い。国の運営による情報サイトの充実が進めば、患者にとってもメリットは大きそうだ。

ひとこと:地域の医師確保について

「地域によってはかかりつけ医、在宅の医師がかなり高齢化しておりますから、将来を見据えて特に医師確保計画との整合性というのも必要ではないかと思っています。また、在宅医療においてはこれからやはり集住化という言葉もありますけれども、恐らく在医総管よりも施設総管のほうが今も伸びが高いですし、高齢者住宅等が在宅医療の提供の場として想定されますが、介護保険事業計画では今は住まい政策と密接に関係を持とうという方向になっておりますので、各地域の住まい政策のほうにも少しアンテナを張っておいたほうがいいのではないかと思っています」
江澤和彦
日本医師会常任理事
~第6回 新たな地域医療構想等に関する検討会 2024年6月21日

今週の数字:48.9%

訪問介護事業所のうち、黒字事業所の提供サービスにおいて「身体介護20分未満」が占める割合。赤字事業所は26.7%にとどまる。黒字事業所では単価の低いサービスを数多く実施する事業所が多い傾向がうかがえる。(出典:福祉医療機構「2022年度訪問介護の経営状況について」2024年8月9日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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