社会保障短信(7月17日号)

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トピックス…地域医療構想、2025年の着地見込みを公表
ひとこと…必要病床数と基準病床数について
今週の数字…40.2日

トピックス:地域医療構想、2025年の着地見込みを公表

▼高度急性期・急性期は15万床過剰
「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」の7月10日の会合で、地域医療構想の進捗などについての報告があった。各医療機関が病棟単位で報告する病床機能報告によると、2025年見込みで合計119.0万床と2023年より約0.3万床減。内訳は高度急性期が16.2万床(全体の14%)、急性期は51.8万床(44%)、回復期は21.1万床(18%)、慢性期は29.7万床(25%)だった。2016年に算出されていた2025年の病床の必要量は合計119.1万床、内訳は高度急性期が13.0万床(全体の11%)、急性期は40.1万床(34%)、回復期は37.5万床(31%)、慢性期は28.4万床(24%)。

合計の病床数は達成している一方で、高度急性期・急性期の病床数は15.0万床過剰、回復期は16.4万床不足といった現状が明らかになった。

▼構想区域別の乖離幅は縮小
構想区域別の状況にも触れている。病床機能について、1000床以上多い区域は2015年で27区域だったのが2023年には11区域に、900~1000床多い区域が10区域から3区域に減少する一方、100~200床多い区域は43区域から56区域、0~100床多い区域は30区域から56区域と、全般的に「必要量より多い」状況は続いているものの、乖離幅は縮小している傾向が見られた。 

厚生労働省では
「一定の進捗が認められる。一方で、構想区域によっては、依然として必要量との大きい乖離が残っている」
と述べる一方、
「病床機能報告の集計結果と将来の病床の必要量は、各構想区域の病床数を機械的に足し合わせたものであり、また、それぞれ計算方法が異なることから、単純に比較するのではなく、詳細な分析や検討を行った上で地域医療構想調整会議で協議を行うことが重要」
とも付け加えている。

▼「再検証対象」病院4600床減の見込み
再検証対象医療機関についても触れている。診療実績が少なかったり、似た機能を備える医療機関が近くにあったりすることから、一度は病床機能の見直しは不要としたものの、厚労省から再検証を求められた医療機関で、440病院が対象になっていた。

2017年の再検証時から2023年の推移を見ると、総病床数は5433床減(-8.0%)、うち急性期は1万1002床増(-26.2%)、回復期は7051床増(+63.6%)、慢性期は1756床減(-12.4%)となっている。

措置済み、検証済みの382病院については、2017年から2025年にかけて5.98万床から5.52万床に減少する見込み。高度急性期は0.06万床から0.08万床に増加、急性期は3.73万床から2.66万床に減少、回復期は0.98万床から1.76万床に増加、慢性期は1.21万床から1.02万床に減少といった内訳になっている。

2025年に向けた総病床数整理の帳尻は合う見込みだが、急性期病床の過剰、回復期病床の不足は解消されないままで着地する見通しだ。
ただ、「急性期」を自称しながら実際には回復期機能を担っていたり、あるいは地域医療構想調整会議の議論とは別に首長の判断で新病院が建てられたりといったことが指摘されている。「新たな地域医療構想」では、そうした実態も踏まえた対応が求められそうだ。

ひとこと:必要病床数と基準病床数について

「知事権限の拡大がどういう形で変わっていくのかは大変懸念をするところでございまして、これは基準病床と必要病床ということに絡んでくるわけでありますけれども、前回ヒアリングでもお話し申し上げたように、必要病床数と基準病床数の差があることによって現場は大変な混乱が起こっている実態もございます」
伊藤伸一
日本医療法人協会会長代行
~第6回新たな地域医療構想等に関する検討会 2024年6月21日

今週の数字:40.2日

要介護認定に係る事務に要する日数のうち、申請から認定までの期間の平均値。介護DXを進めることで、この日数を短縮するねらいがあるという。(出典:社会保障審議会介護保険部会(第113回)資料1「介護情報基盤について」2024年7月8日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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