社会保障短信(5月16日号)

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トピックス…「がんとの共生」テーマに議論開始
ひとこと…新たな地域医療構想について
今週の数字…6,225円

トピックス:「がんとの共生」テーマに議論開始

▼緩和ケアや相談支援の充実が議題
「がんとの共生のあり方にかんする検討会」が4月26日に開催された。2023年3月に閣議決定された「第4期がん対策推進基本計画」で、「がんとの共生」が柱の一つに掲げられ、「がんになっても安心して生活し、尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会を実現する」ことを目指すとされた。同検討会はこれを踏まえ、次の事項を検討する。

①緩和ケアの質の向上策
②多様なニーズを踏まえた相談支援及び情報の質の向上策
③サバイバーシップ支援に関する質の向上策
④ライフステージに応じた療養環境への支援に関する質の向上策
⑤その他、第4期がん対策推進基本計画のうち、「がんとの共生」に掲げられている項目のうち必要な事項

この日は主に、緩和ケア研修会、相談支援のあり方、アピアランスケアが議論になった。

▼医師以外の医療従事者の参画を促す
緩和ケア研修会については現在、がん治療に携わる医師・歯科医師、緩和ケアに従事するその他の医療従事者を対象に実施されている。

この見直しを議論した「がんの緩和ケアに係る部会」では、「がん等の診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアについて正しく理解」することが掲げられていることを踏まえ、医師、歯科医師以外の医療従事者も、専門的な緩和ケアへのつなぎ方を習得することが望ましいとして、「緩和的放射線治療や神経ブロック等について内容の充実を図る」こと、集合研修では「多職種によるグループが編成されるよう配慮する」ことなどが案として示されている。検討会でもこの見直し案が紹介された。

▼ピアサポートや就労継続支援に課題
相談支援に関する議論では、国立がん研究センターがん対策研究所がん政策評価研究部の中澤葉宇子さんが「第3回患者体験調査速報値報告」の内容を報告した。初めての受診から診断、治療開始の時間や医師・スタッフからの説明、就労継続への相談・サポートの有無などをがん患者を対象に実施したもの。

それによると、身体的な辛さがある時に、「すぐに医療スタッフに相談できると思うか」との問いに対して、「ややそう思う」「とてもそう思う」との答えは63.3%だった一方、がん相談支援センターを知っている人は53.6%、ピアサポートを知っている人は14.6%、治療開始前に就労の継続に関して病院の医療スタッフから話があった人は38.6%といった結果が出ている。

▼アピアランスケアの普及も議題に
アピアランスケアについては、厚労省から「アピアランスケアの正しい知識の普及、医療機関におけるアピアランスケアの提供体制の整備や質の担保」への方向性の案が示された。具体的には以下の通り。

▽エビデンス等に基づいたアピアランスケアに関する研修を受講した医療従事者が、医療機関で主となってアピアランスケアに関する相談支援・情報提供を行う体制を構築する
▽その際、患者・家族や院内の医療従事者がアピアランスケアについて相談できる場や体制が明確に分かるようにする必要があり、患者・家族への周知や院内での対応フロー等の作成を行う
▽主となってアピアランスケアに係る相談支援・情報提供を行う衣料従事者は、現状やアピアランスケアの内容を踏まえ、医師、薬剤師、看護師、社会福祉士・精神保健福祉士等を想定

がん診療では、患者支援の視野が「治療」だけでなく社会生活全般に及んでいることをうかがわせる。医療機関がどこまで「患者(生活者)主体」の支援体制を築けるかも焦点になりそうだ。

ひとこと:新たな地域医療構想について

「もともとの出発点は医療区分の1の70%を入院外の在宅医療や介護施設で対応するというものでありまして、医療分野だけでは議論は成り立ちませんので、一刻も早く地域医療介護構想とすべきと考えております。すなわち、地域医療構想調整会議に介護分野の行政担当者や関係団体等が参加して、地域の介護施設や高齢者住宅でどういった医療が提供されているのかを共有することが必要でありますし、さらには各地域の介護保険の事業計画との整合性も求められると思いますので、縦割りのない連携というのが非常に今後重要になると思っております」
江澤和彦
公益社団法人日本医師会常任理事
~2024年3月29日 第1回 新たな地域医療構想等に関する検討会

今週の数字:6,225円

第9期介護保険事業計画期間(2024年度~2026年度)における、介護保険の第1号保険料。第8期の,6014円より3.5%増。第1期は2,911円、第6期で5,514円と5,000円を上回っていた。(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」2024年5月14日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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