社会保障短信(4月4日号)

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トピックス…四病協、「医師の働き方改革」の影響調査を発表
ひとこと…医師の人材流出について
今週の数字…52%

トピックス:四病協、「医師の働き方改革」の影響調査を発表

▼960時間超の医師「0」が77%
四病院団体協議会の病院医師の働き方検討委員会は3月27日、「医師の働き方改革に関する状況調査」の結果を発表した。調査期間は2024年1月29日~2月9日、1306病院が回答している。開設主体は公立・公的が31.3%、民間が68.7%。機能等は臨床研修病院が基幹・協力が計68.1%、二次救急病院が53.5%などとなっている。

2023年度見込みで、自院を主たる勤務先とする医師のうち、年間の時間外・休日労働が960時間を超える医師数は「0」と答えた病院が76.9%、「1~5人未満」と回答した病院は8.1%。1860時間を超える医師が「1人以上いる」と回答した病院は3.3%だった。

▼宿日直許可は70%が取得
宿日直許可の取得状況についても聞いている。病院全体で取得している病院は70.1%、一部の診療科、一部の時間帯で許可を取得している病院が19.4%、取得していない病院が10.6%だった。

取得していない病院のうち、「病院全体で申請し、結果待ち」が25.4%、「一部の診療科、時間帯で申請し、結果待ち」が9.4%、「申請の準備中」が36.2%となっている。一方で「必要ないため取得意向はない」が6.5%、「業務の性質に照らすと取得は困難」が8.7%だった。

▼二次救急の92%がA水準
予定している医師の時間外・休日労働時間の水準に当てはまるものも尋ねている(複数回答可)。それによるとA水準が92.2%、B水準が15.5%、連携B水準が6.6%、C-1水準が5.1%、C-2水準が0.9%だった。

病院機能別では、二次救急病院の91.8%、救命救急センターの75.6%がA水準を予定。また基幹臨床研修病院の62.7%がB水準か連携B水準、17.6%がC-1水準かC-2水準を予定。専門医指定病院のうち72.1%がB水準か連携B水準、18.3%がC-1水準かC-2水準を予定していた。研修医を多く受け入れる病院がC水準よりもB水準を多く予定していることが明らかになっている。

▼影響については「可能性ある」が35%
医師の働き方改革による診療体制の縮小などについては、「影響は生じていない」が51.3%、「現時点では生じていないが今後可能性がある」が35.0%、「影響が生じている」が7.0%だった。既に生じている影響として、「救命救急センターでの業務は『宿日直』ではなく『勤務』としているため、他院からの非常勤医師の派遣が受けにくくなり、当院の医師の負担が増す。また周辺の医療機関が宿日直を許可を受けることで、救急患者の受け入れが困難となり、当院へ患者が集中する」といった声も紹介されている。

また他院から派遣されている医師について、派遣の中止・削減に関する連絡の有無を尋ねた質問に対しては、「特に連絡はない」が84.7%、「中止の連絡があった」が3.6%、「削減するとの連絡があった」が5.7%だった。

現時点では約86%が「影響は生じていない」と答えているものの、改革の進展次第で状況は変わりうる。回答病院のコメントにあるように、宿日直許可の取得病院が増加することによる影響も勘案する必要がありそうだ。

ひとこと:医師の人材流出について

「特に、コロナ後に、最近非常に目立つのですけれども、医師の働き方改革と相まって、医師の人材流出というのがかなり顕著になっている。他産業もあるのですけれども、自費診療を志す医師がかなり増えてしまって、本当に命に関わるところに携わる医師のモチベーションが下がっている。働き方改革によって賃金が低下するという懸念もあるということで、医師の確保がかなり困難になってきているということを非常に感じているところです」
泉 並木
日本病院会副会長
~2024年2月9日 第106回社会保障審議会医療部会

今週の数字:52%

在宅医療について、地域医療構想調整会議において議論を行っている構想区域の割合。(出典:第13回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ資料1「地域医療構想の進捗について」2023年11月9日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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