社会保障短信(2月20日号)

医療・介護福祉など社会保障関連の情報をお届けします。

トピックス…2024年度診療報酬改定の答申がまとまる
ひとこと…処遇改善についてACPについて
今週の数字…20点

トピックス:2024年度診療報酬改定の答申がまとまる

▼「賃上げに向けた評価」も固まる
中央社会保険医療協議会総会は2月14日、2024年度診療報酬改定の答申をまとめ、「個別改定項目について」の各項目に点数が記載された。1月26日の「短冊」提示時点で空白だった「医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組」のうち、「賃上げに向けた評価」の内容も示されている。

▼「ベースアップ評価料」新設
「外来・在宅ベースアップ評価料」では、外来か在宅医療を実施している医療機関については「同(Ⅰ)」が設けられ、1日について、初診時6点、再診時2点、訪問診療時は同一建物居住者以外の場合28点、それ以外で7点が算定可能となる。

施設基準では、
▽医師事務作業補助者や看護補助者といった専ら事務作業を行う職員は含まれず
▽2024年度と2025年度で対象職員の賃金の改善(定期昇給によるものを除く)を実施しなければならず
▽基本給、手当、賞与等のうち賃金項目を特定したうえで、基本給か決まって毎月支払われる手当の引き上げによって改善を図ることを原則とする
▽2024年度と2025年度における賃金改善の計画を作成している
▽改善状況を定期的に地方厚生局長等に報告する
――などが設けられている。

さらに「同(Ⅱ)」は賃金の改善を強化する必要がある医療機関で、賃金の改善を実施している場合の評価となる。「1」~「8」があり、「イ 初診又は訪問診療を行った場合」「ロ 再診時」に算定できる。

それぞれ段階的に点数が設定されており、「イ」は「1」8点~「8」64点、「ロ」は「1」1点~「8」8点などとなっている。医療機関ごとの区分については、対象職員の給与総額、(Ⅰ)で算定される点数の見込みと(Ⅱ)で算定回数見込みを用いた計算式で導かれる算出数に基づいて届け出る。

▼病院のベースアップ評価料は165段階
病院向けには「入院ベースアップ評価料」があり、「1」(1日につき1点)~「165」(165点)が設定されている。施設基準は「外来・在宅」で挙がっているものに加え、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)と歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)で得られる金額が対象職員の給与総額の2.3%未満であることなどが含まれている。病院ごとの点数は外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)と歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)で算定される点数の見込みと述べ入院患者数の見込みを用いて算出した数に基づいて区分される。

「基本給」で賃金を引き上げることを施設基準に盛り込むなど、それぞれの医療機関の経営にかなり踏み込んだ内容になっており、病院団体などが指摘する「経営の自由度」には一定程度の制約が加わるかもしれない。

ひとこと:処遇改善について

「介護士が少なくなったから介護士の給料で給与改善をやるとか、そういうふうに職種別にやるのは非常に困るのですよね。というのが、事務職員にしてもそうですし、それから、栄養士もそうですし、給食の担当の人たちもものすごく給料が低いのです。そうすると、病院で働いていた人がほかのホテルとかインバウンドで景気がよくなった職場にどんどん引き抜かれて、今、給食婦にしても、栄養士にしても、40~50万の給料でそういうインバウンドに引き抜かれていってしまっているわけです。したがって、そういう職種別につけるのではなくて、全体的にきちんとボトムアップをするような診療報酬改定をしていかなければいけないと考えています」
山崎學
日本精神科病院協会会長
~2023年11月29日 第104回社会保障審議会医療部会

今週の数字:20点

2024年度診療報酬改定で、「医師事務作業補助体制加算」が見直され、20点が上乗せされた。「同Ⅰ」の15対1補助体制加算の場合、1050点から1070点となった。ただし施設基準として、「医師事務作業補助者の勤務状況および補助が可能な業務の内容を定期的に評価することが望ましい」が加わっている。(出典:中央社会保険医療協議会総会「個別改定項目について」2024年2月14日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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