社会保障短信(2月15日号)

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トピックス…2024年度改定の「答申書附帯意見(案)」提示
ひとこと…医師不足について
今週の数字…40.7万円

トピックス:2024年度改定の「答申書附帯意見(案)」提示

▼構成員の意見を踏また「その2」
中央社会保険医療協議会総会は2月7日の会合で、「答申書附帯意見(案)」が示された。1月31日に「その1」が出され、構成員の意見を踏まえて「その2」としてまとめられている。厚生労働省が重点テーマとして認識しているものが並び、2026年度診療報酬改定以降の論点ともなる可能性が濃厚であるだけに注目度は高い。

全28項目で、大まかな項目としては「賃上げ全般」「医療DX」「働き方改革・人材確保」「入院医療」「外来医療」「在宅医療等」「精神医療」「リハビリテーションへの対応等」「医療技術の評価」「歯科診療報酬」「調剤報酬」「敷地内薬局」「長期リフィル処方」「後発医薬品の使用促進」「長期収載品」「薬価制度」がある。

▼地域包括医療病棟入院料は急性期病棟の再編も視野に
このうち、新設された地域包括医療病棟入院料については、「高齢者の急性疾患の受け入れ状況、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理などのアウトカムなどについて、幅広くデータに基づいた分析を行い、評価の在り方について検討すること」を求めている。また10対1の急性期一般病棟についても触れ、新入院料が設けられたことにあわせて「その入院機能を明確にした上で、再編を含め評価の在り方を検討すること」とされた。このあたりは急性期一般病棟からの移行状況もあわせた議論になりそうだ。

▼必要度は「医療ニーズの変化」も見据える
急性期一般病棟入院基本料や高度急性期医療の評価や体制については、重症度、医療・看護必要度、SOFAスコアなどの評価指標や測定方法など、評価の在り方について引き続き検討することとしているが、1月31日の附帯意見案「その1」から新たに「人口構造や医療ニーズの変化も見据え」が加筆された。

今回、必要度の評価項目は診療側と支払側で意見がまとまらず、「公益裁定」で落着することになった。B項目が削除され、救急患者が入院した場合の評価対象が5日間から2日間に短縮されるなど、病院の入院医療収入に大きな影響を与えそうな改定が行われているが、入院患者の大半が高齢者で、疾患以外の要因で病院の業務負担がますます増えそうな状況であるだけに、「地域包括医療入院料」との役割分担も含めた評価の在り方が求められそうだ。

▼「生活習慣病」評価見直しも焦点に
外来診療では、
▽地域包括診療料・加算における介護保険サービスとの連携にかかる評価
▽生活習慣病の管理について、改定による影響の調査・検証
▽かかりつけ医機能がより発揮される評価の在り方の検討
▽情報通信機器を用いた精神療法についての適切な評価の在り方の検討――などが上がっている。

このうち生活習慣病の管理については、特定疾患療養管理料の対象疾患から糖尿病、脂質異常症、高血圧を除外する一方、生活習慣病管理料で新たに「Ⅰ」を設け、かつ療養計画書を簡潔化、診療ガイドラインなどを参考として疾患管理を行う、多職種と連携することを望ましい要件とするといった見直しを進めている。外来診療のうち内科系では特に影響が大きいと見られているだけに、注目点の一つと言えそうだ。

ひとこと:医師不足について

「最近、過疎地の病院・医療施設の見学をずっとしているのですけれども、今の専門医制度が地方への医師派遣を阻害しているところが少しあります。地方は、例えば、指導医がいても、施設基準を満たせない、症例数を満たせない、あるいは、患者さんがいても、指導医がいないということで、大学医局からの若手医師の派遣が難しくなっているところがあります。そういうところで、要するに、医師不足が非常に顕著になっています。そういう意味では、専門医制度も含めて、若手の医師が地方に回るような仕組みを考えていただけたらと思います」
松田晋哉
産業医科大学教授
~2024年1月4日 2023年12月8日 第105回社会保障審議会医療部会

今週の数字:40.7万円

看護師の賞与込み給与額。年齢は39.4歳、勤続年数は7.8年(いずれも平均)。全産業の平均は36.1万円。医師は97.1万円、薬剤師45.6万円、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士は34.2万円などとなっている。(出典:中央社会保険医療協議会 総会(第571回)資料「処遇改善(その2)について」2023年12月8日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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