社会保障短信(2月7日号)

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トピックス…7対1病棟、平均在院日数、必要度の見直し案が決定
ひとこと…ベースアップについて
今週の数字…7.7%

トピックス:7対1病棟、平均在院日数、必要度の見直し案が決定

▼救急搬送入院日数は「2日」
1月31日の中央社会保険医療協議会総会では、7対1看護体制を施設基準とする急性期一般入院料1の平均在院日数の基準と、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目・該当患者割合の基準について、支払側、診療側の構成員の間で折り合いがつかず、公益委員による「公益裁定」で決着することになった。

裁定の内容は
▽急性期一般入院料1の平均在院日数の基準は16日以内
▽必要度の項目は救急搬送後の入院評価日数を2日とする見直し案4
▽該当患者割合は「A3点以上またはC1点以上」で20%、「A2点以上またはC1点以上」で27%
――というもの。

支払側、診療側はそれぞれ、次の意見を述べていた。
▽平均在院日数の基準:支払側は14日以内、診療側は現行の18日以内
▽必要度項目:支払側は評価日数を1日とする案1の採用、診療側は最も影響の小さい案4よりも更に影響の小さい見直しの検討
▽該当患者割合:支払側は引き上げ、診療側は「慎重に検討すべき」

▼公益委員の「考え」はバランス重視か
この内容に至った経緯について、公益委員は「考え」のポイントを説明しているが、激変回避と機能分化推進の両方への配慮がうかがえる。

まず評価項目の見直しによる影響について触れている。厚生労働省が示したシミュレーションによると、該当患者割合の基準を満たす医療機関の割合の変化は、同入院料1のうち必要度Ⅰを用いる医療機関において大きく、中でも案1と3による見直しの場合に特に大きいことが示されている。
このことから、該当患者割合の基準を現行の水準のままにした場合、「相当数の医療機関が基準を持たさなくなることが想定される」と指摘した。

一方で、同入院料1から他の入院料への転換を含めた「適切な機能分化が促される取り組みを進めることは重要」とも述べた。
2022年度診療報酬改定での見直しで一定程度の医療機関の基準が満たさなくなることが想定されていたにもかかわらず、実際には病床数は増加したことを挙げる。
このことを踏まえると、該当患者割合の基準を「一定程度高く設定すること」が、「適切に医療資源を投入する体制の構築を進めるにあたり重要」と述べた。

▼類似のシミュレーションでは8.9%減
厚労省が1月10日に示したシミュレーションには、必要度Ⅱで案4、該当患者割合「A3点以上またはC1点以上」18%、「A2点以上またはC1点以上」28%、平均在院日数16日以内というケースで、基準を満たす医療機関は8.9%減るというケースが示されている。

公益委員の「考え」には、「後期高齢者の中等症の急性疾患ニーズに応える地域包括医療病棟が新設されること」を挙げつつ、急性期一般入院料1から他の入院料への展開を視野に入れた機能分化の必要性への言及も見られる。ただこの10年来、絶えず議論されてきた「7対1病棟の削減」に、見直しがどれほどの後押しになるかは不透明だ。

ひとこと:ベースアップについて

「一般的には人事院勧告、俸給表などを使う場合には、それでどれだけ定期昇給があって、さらに全体をベースアップしていくという考え方でやって、公務員などですと、そういう考え方だと思いますけれども、果たして民間の中小医療機関、診療所が、今、そういう考え方をしているかというと、まずしていないわけですね。独自の給与表をつくっていたり、そのときの状況によって、昇給をどうしようかということを考えたりしてやっているので、なかなかベースアップとはっきり書かれると、ここに昇給の部分はどう考えるのかと、その辺のことが絡みますので、そこは、多分報告義務もあるのでしょうし、あまりぎちぎちにやられると、少し現状と合わないかなということで、どうでしょうかというのが質問です」
猪口雄二
日本医師会副会長
~2024年1月4日 2023年度第12回入院・外来医療等の調査・評価分科会

今週の数字:7.7%

介護事業経営実態調査が示した、2022年度の訪問介護の純利益率。前回調査時の2019年度決算では2.3%だったから伸びが目立つかっこうで、2024年度介護報酬改定における基本報酬引き下げの一因になったとの指摘もある。
一方、東京商工リサーチが1月27日に発出したリリースによると、2022年の介護事業者の休廃業・解散は2010年の調査開始以来、過去最多だった。ヘルパー不足や競争激化に加え、コロナ禍の感染防止から利用控えが進んだほか、物価高の影響で事業継続を断念する事業者も相次いだという。(出典:社会保障審議会介護給付費分科会「令和5年度介護事業経営実態調査結果(案)」11月10日ほか)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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