社会保障短信(1月31日号)

医療・介護福祉など社会保障関連の情報をお届けします。

トピックス…「2024年度改定の「短冊」まとまる
ひとこと…高齢者施設におけるACPについて
今週の数字…32.5%

トピックス:「2024年度改定の「短冊」まとまる

▼「個別改定項目について」公表
1月26日に開かれた中央社会保険医療協議会総会で、2024年度診療報酬改定の主な改定項目を示した「個別改定項目について」が公表された。いわゆる「短冊」で、今後、中医協は2月中旬をめざしてまとめられる予定の答申に向け、大詰めの議論に入る。
改定率は+0.88%だが、賃上げ分が大半を占めるなど、医療への評価などはかなり限定的であるだけに、改定内容に注目が集まっていたが、医療機関にとっては今後の経営の舵取りがかなり難しい内容になったといえそうだ。

▼「地域包括医療病棟入院料」新設
2014年度改定以来、10年ぶりに新たな入院料として設けられることになったのが、「地域包括医療病棟入院料」だ。今回改定の目玉の一つである「高齢の救急患者に対する入院医療」評価を形にしたもの。

施設基準は一般病棟単位で算定、看護配置は10対1となるほか、常勤で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の配置を求めるほか、専任の常勤管理栄養士の配置も求める。入院早期からリハビリを提供するための設備を有すること、さらに入院患者に対してADL等の維持・向上、栄養管理に必要な体制が整備されていることなどを挙げている。

また入院日から数日間は初期加算を設けるほか、看護補助体制加算、夜間看護補助体制加算なども設ける。
さらに「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」も新設するなど、高齢患者を想定した評価が充実している。

これ以外にも、介護保険施設入所者の病状が急変した際に、その施設の協力医療機関となっている病院が受け入れた場合の評価として「協力対象施設入所者入院加算」が用意された。
2024年度介護報酬改定で介護保険の施設系サービスである特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院に対し、入所者が急変した際、入院受け入れが可能な協力医療機関を定めることを義務化していることと連動した措置といえる。

▼療養病棟入院基本料は30区分に
「療養病棟入院基本料」も見直す。医療区分とADL区分に基づき9分類となっているが、疾患・状態にかかる3つの医療区分、処置等にかかる3つの医療区分、3つのADL区分に基づく27分類と、スモンに関する3分類の計30分類の評価に改める。

中心静脈栄養については、患者の疾患を広汎性腹膜炎などに限定するほか、開始日から30日以内とする。

▼「特定疾患療養管理料」から3疾患除外
外来では、「特定疾患療養管理料」の対象疾患から、生活習慣病である糖尿病と脂質異常症、高血圧を除外することになった。

一方で、これら3疾患の患者に対する医学管理を評価した「生活習慣病管理料」を「同(Ⅰ)」としたうえで、点数も見直す。療養計画書を簡素化する一方、診療ガイドライン等を参考として疾患管理を行うこと、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士などの多職種と連携すること、糖尿病患者に対して歯科受診を推奨することを要件としている。

外来の内科系患者のうち、多くの患者がこれら3つを有していると考えられることから、影響は小さくなさそうだ。 

ひとこと:高齢者施設におけるACPについて

「最近、高齢者施設では、ACPでこれ以上の医療を望まないという同意が取れているにもかかわらず患者さんが救急車で搬送されるということも結構あるということでございます。適切にACPをきちんと推進していただくということもぜひお願いしたいと思っています」
泉並木
日本病院会副会長
~2023年12月8日 第105回社会保障審議会医療部会

今週の数字:32.5%

2022年度の医療法人の赤字法人割合。ただし、事業収益50億円以上の法人では赤字法人割合は 15.5%に留まるが、事業収益10億円未満の赤字法人割合は39.7%であり、事業収益が少ないほど経営が苦しい傾向が見られた。(出典:福祉医療機構「2022年度 医療法⼈の経営状況について」1月24日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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