社会保障短信(1月5日号)

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トピックス…一般病棟での重症度、医療・看護必要度見直し案を示す
ひとこと…病院への繰入金について
今週の数字…48.8%

トピックス:一般病棟での重症度、医療・看護必要度見直し案を示す

▼救急搬送後の入院日数1~2日案提示
12月22日の中央社会保険医療協議会総会では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度が議題にあがり、個別項目の内容と基準見直しについての厚生労働省案が示された。

個別項目の見直しのうち、急性期一般入院料1~5の該当患者割合への影響が大きなものとしては、次の項目がある。

▽救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態=評価日数を5日から1日に短縮する(該当患者割合への影響は-4.5ポイント)
▽同=評価日数を5日から2日に短縮する(同-3.3ポイント)
▽注射薬剤3種類以上の管理=入院期間中に初めて該当した日から7日目までのみを評価対象の候補日としたうえで、対象薬剤から「アミノ酸・糖・電解質・ビタミン」等の静脈栄養に関する薬剤を除外する(同-1.2ポイント)
▽B項目および該当基準=急性期一般入院料1において、該当基準のうち基準①(A2点以上かつB3点以上)を廃止する(同-7.7ポイント)
▽C項目=対象手術における手術実施日から退院日までの日数の実態を踏まえ、評価日数を変更する(同-1.2ポイント)

▼A得点2点以上を含める案も示す
急性期一般入院料1の該当患者割合への影響に関するシミュレーション案も示されている。平均在院日数の基準の見直しと組み合わせるとともに、「A得点2点以上」を評価する必要性が指摘されていることを踏まえ、A得点2以上を含めた割合についても確認することを提案した。

具体的には、平均在院日数が14~17日以内で、
「基準②:A得点3点以上、基準③:C得点1点以上のいずれかを満たす割合」
「基準②、基準③、A得点2点のいずれかを満たす割合」
の2つをシミュレーションで確認する。

▼3日目以降の扱いが議論に
このうち、「救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態」の該当日数見直しについては、救急医療管理加算1を算定する患者における医療資源投入量が、入院初日で最も高く、その後3日目にかけて低下し、3日目以降は大きな変化が見られなかったというデータを示している。
また11月8日の議論で、「日数の短縮化や、5日間のなかでも入院後日数によって重みづけすることが考えられるのではないか」といった意見が出たことを紹介している。

一方、この日の議論では診療側委員から、2022年度改定で心電図モニター管理が削除されたことで、内科系病棟における該当患者割合が下がる状況であり、この見直しによって高齢の救急患者を受けにくくなるといった事態が懸念されるとの意見が出ている。
こうした声に厚労省はどのような対応を見せるかが注目される。

ひとこと:病院への繰入金について

「今、総務省から公的病院に対して約8000億の繰入金が出ているわけであります。それが本当の過疎地の医療あるいは周産期や小児といったお金のかかる医療に関しての費用であるならばよろしいのですけれども、運営交付金的なことで払われているとするならば、イコールフッティングといいますか、その地域でやっている医療の中身に対して、民間でも、DXあるいは仕組みを変えるとか、工夫、効率化を重ねて、歯を食いしばってやっている場合もいっぱいございますけれども、繰入金はいただけないということがあるわけであります。」
神野正博
全日本病院協会副会長
~2023年12月8日 第105回社会保障審議会医療部会

今週の数字:48.8%

2020年時点での、20~199床病院の電子カルテ普及率。
200~399床病院は74.8%、400床以上は91.2%。一般診療所は49.9%。
資料では「電子カルテ導入による医療の質と安全を高める効果は、普及率の低い小規模の医療機関ほど大きい可能性」があると指摘している。(出典:2023年第16回経済財政諮問会議資料3「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について〈素案〉」12月5日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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