社会保障短信(12月19日号)

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トピックス…高齢者救急の入院医療に包括評価案
ひとこと… 急性期病棟での介護について
今週の数字…0.88%

トピックス:高齢者救急の入院医療に包括評価案

▼リハ、栄養、入退院支援、在宅復帰の包括的機能を評価
中央社会保険医療協議会総会では12月15日の会合で、「高齢者の救急患者等に対応する入院医療について」の議論があった。
このなかで厚生労働省は、「必要な人員体制等により救急患者等を受け入れる体制を整え、リハビリ、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に担うことを評価する」案を示した。

同時改定に向けた意見交換会で要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療が主要な議題の一つに上がり、その後の中医協論議でもたびたび議論されている。
「地域一般病棟や地域包括ケア病棟など急性期一般入院料1以外の病棟のうち高齢者救急への対応や高齢者のケアに必要な体制を備えた病棟を類型化して評価することが必要」(入院・外来医療等の調査・評価分科会〈検討結果とりまとめ〉)といった指摘もあった。

▼急性期病棟でリハビリ実施にバラツキ
厚労省は案を示すうえで、次の課題を挙げた。

▽誤嚥性肺炎の患者に早期リハビリを実施する場合、1日2単位以上のリハビリを提供することが、死亡率改善、自宅退院割合の向上、在院日数の短縮につながることが示されている
▽リハビリ実施患者に対する1日平均提供単位数は、急性期病院より地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟のほうが多い傾向にあった
▽急性期一般入院基本料を算定する病棟のリハビリ実施割合はバラツキがあった
▽地域包括ケア病棟を届けている医療機関のほうが、急性期入院料を届けている医療機関よりリハビリ職の人数が多かった
▽入院時に高齢患者の42%は低栄養リスクが指摘され、26%は低栄養。また高齢入院患者の栄養状態不良と生命予後不良は関連がみられる

専門職の配置状況にも触れている。40床あたりのリハビリ専門職の人数分布は、平均で急性期入院料1が4.2人、同2~6が4人、地域包括ケア病棟が7.5人。管理栄養士は急性期一般入院料1で配置ありが26.2%、地域包括ケア病棟入院料・管理料1は32%、施設基準で配置が求められている回復期リハビリ病棟入院料1が85.9%。
「必要な体制」の目安として、このあたりの数値に着目する必要がありそうだ。

▼在宅での連携体制にテコ入れ
この日の中医協総会では、訪問診療・往診についても議論が交わされている。厚労省は、改定に向けて次の論点を提示した。

▽要介護度および認知症日常生活自立度に関する包括的支援加算の対象患者の範囲について見直す。麻薬の経口投与を行っている患者を同加算の対象患者に加える
▽訪問診療の算定回数が多い医療機関の一部で、往診や看取りの実績が少ない傾向があることを踏まえ、在宅療養支援診療所等の要件を整理する
▽患者一人あたりの訪問診療の頻度が高い医療機関における、複数回の訪問診療に関する評価を見直す
▽在支診以外の診療所が訪問診療している患者の急変時に、在支診等が診療情報等を常に確認できる体制のもとで往診した場合を評価する
▽在支診以外の診療所が連携体制を構築しながら24時間の在宅医療提供体制を有している場合の在宅療養移行加算の評価を見直す

訪問診療の頻度が月あたり平均4回以上の医療機関は、月あたり平均4回未満のところと比べてターミナルケア加算および往診料の算定回数が少ない傾向が見られたという。このあたりも「要件の整理」のポイントになりそうだ。

診療情報の連携については、ICTを用いた「医療情報連携ネットワーク」を紹介している。
日医総研のワーキングペーパーによると2022年で約3万5000施設が何らかの形で参加しており、診療所の施設数は増加傾向にあるという。
訪問診療を行う意思のグループ形成によるバックアップを行う千葉県柏市、患者急変時のICTを活用した患者情報連携を行う新潟県長岡市などの例も挙げている。

ひとこと:急性期病棟での介護について

「急性期においても、慢性期においても、業務分担はあまり内容が変わらないということですが、それだけ急性期では高齢者を多く見ていて、排泄の介助だったり、おむつ交換だったりとか、非常に看護師の負担が大きいことが見てとれると思いますので、この高齢者に対する介護という問題を解決しなければ、今後例えばB項目が外れるのかどうか分かりませんけれども、7対1が10対1などになりますと、その介護のマンパワーはどうするのかという問題は必ず出てくると思います。」
津留英智
全日本病院協会 常任理事
~2023年10月12日 令和5年度第10回入院・外来医療等の調査・評価分科会

今週の数字:0.88%

12月15日に政府が方針として固めた2024年度診療報酬本体の改定率は0.88%増。薬価改定率は1%減の見込みで、全体としてはマイナス改定になる見通し。
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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