社会保障短信(11月13日号)

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トピックス…入院時の食事は約20円値上げの方向か
ひとこと… 救急患者の受け入れについて
今週の数字…9.5%

トピックス:入院時の食事は約20円値上げの方向か

▼食事療養費は介護の自己負担額と揃える
11月10日の中央社会保険医療協議会総会では、「入院時の食費について」「外来(その3)」「入院(その3)回復期入院医療について」が議題に挙がった。

「入院時の食費について」では、「食材費等の高騰を踏まえた対応を行う観点から、入院時の食費の見直しについてどのように考えるか」が論点として提示された。

病院給食の公定価格は、1997年に入院時食事療養費が1920円と決められて以降、据え置かれたままになっている。一方、食材費の高騰が顕著で、総務省の資料によると2022年の食料支出は2018年に比べ3.2%だという。
こうした背景を受けて病院給食の委託単価も値上がりしており、日本メディカル給食協会の調べによると、2018年で1796円だったのに対し、2022年は1997円と、入院時食事療養費を上回るようになっていた。
こうしたことから、この日の資料では「昨今の食材費等は特に足下で大きく高騰しているところ、公定価格のため価格転嫁もできず、病院経営に影響、病院食の質が下がりかねない状況」と述べている。

上げ幅については、介護保険の食費の自己負担が参照として示された。1食あたり約482円で、入院時食事療養費の1食あたり460円(1日3食で換算)と比べて22円の差があり、このあたりの水準に引き上げることが考えられる。

▼生活習慣病への対応評価が焦点に
「外来(その3)」では、
▽かかりつけ医機能の評価
▽時間外対応加算
▽書面を用いた説明
▽特定疾患療養管理料
▽かかりつけ医機能に係る評価等の併算定
――が論点として提示された。

特定疾患療養管理料は1958年に慢性疾患を主病とする人に対して、「栄養、安静、運動その他療養上必要な指導をした場合の評価」として、慢性期疾患指導料として設けられたのが始まりで、2006年に現行の形になった。
現在、算定時に係る主傷病名は高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が多くなっている。

論点では、生活習慣病管理料には詳細な療養計画書の作成と計画書を用いた患者への説明が求められる一方、特定疾患療養管理料はそうしたことが求められていないことを指摘した。
さらに特定疾患療養管理料の算定がある施設について、それ以外の施設と比べ、かかりつけ医機能が高いといえない現状も挙げながら、「生活習慣病に係る診療報酬上の療養指導の評価のあり方についてどのように考えるか」と議論を求めた。

これ以外にも外来機能の分化や医療DXなど、外来体制についての論点提示もあったが、今回は長らく手を付けてこなかった療養管理の評価にも踏み込んでいるだけに、今後の議論の推移に注目が集まりそうだ。

▼地ケア、回リハとも第1Rの議論継続
「入院(その3)回復期入院医療について」では、地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟の入院料が論点として示されている。

地域包括ケア病棟については
▽高齢者等の救急搬送患者の受け入れ推進
▽短期滞在手術料入院料3についてのあり方
▽施設基準「在宅医療等の実績」のうち、訪問看護と訪問リハビリの実績評価、入退院支援での介護・障害サービス事業者との連携強化
――が挙がった。

回復期リハビリ病棟については
▽FIMの測定のあり方
▽疾患別リハビリの上限単位数や体制強化加算のあり方
▽発症後早期からの集中的なリハビリ提供の促進
▽退院後の早期リハビリ提供の推進
▽回復期リハビリ病棟における栄養管理の充実
▽身体的拘束の予防・最小化、身体的拘束を実施した場合の評価
▽地域リハビリ活動支援事業等への協力
――などが論点になっている。

いずれも第1ラウンドから論点になっている項目ばかりで、厚労省の強い姿勢をうかがうことができる。

ひとこと:救急患者の受け入れについて

「休日・夜間に入院を受け入れる医師の体制を組めない施設というのが現実には多いのだと思います。これから働き方改革で、医師がいろいろな医療機関で当直するということがなかなか難しくなってくるということで、急2から急6、さらに回復期でこれからどんどん救急車を受けてくださいということにはなかなかならないかなと思います。」
牧野憲一
旭川赤十字病院 院長
~2023年10月5日 入院・外来医療等の調査・評価分科会

今週の数字:9.5%

地域包括ケア病棟の入棟患者のうち短期滞在手術等基本料3のみを算定する患者の割合が10%を超える施設の、同病棟を届け出ている施設に占める割合。多くの病棟、病室で0%だった。
(出典:入院・外来医療等の調査・評価分科会資料「診療情報・指標等作業グループにおける検討内容について」10月5日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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