社会保障短信(10月16日号)

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トピックス…7対1病棟のB項目による得点について問題提起
ひとこと… オンライン請求について
今週の数字…5100万件

トピックス:7対1病棟のB項目による得点について問題提起

▼B項目による得点の扱いを議論
中央社会保険医療協議会入院・外来医療等の調査・評価分科会は10月5日の会合で、「急性期入院医療について(その4)」のテーマで、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度などに関する議論を進めた。

厚生労働省は、
「高齢者の急性期医療のニーズが増大する中において、医療機関間の機能分化による効率的な医療の提供を推進する観点から、重症度、医療・看護必要度等のあり方についてどのように考えるか」
との論点を示し、特に患者状態を表すB項目による得点の扱いに焦点を当てた。

▼「B項目以外を評価すべき」
一般病棟用の必要度は平成20年度改定で「医療機能分化・連携を推進する」「効率化の余地があると思われる領域の評価のあり方について検討する」との観点から、医療ニーズに着目した急性期等の手厚い患者への対応を評価する基準として、当時の一般病棟7対1入院基本料の算定要件に導入された。

現在は基準1(A得点2点以上かつB得点3点以上)、基準2(A得点3点以上)、基準3(C得点1点以上)の3つがあり、該当する患者の割合を満たすことを要件としている。急性期一般入院料1を算定する200床以上の病院の場合は必要度1で31%、同2で28%といった具合だ。

その後の改定で必要度の見直しが進み、2022年度改定では、A項目から「心電図モニターの管理」を除外し、「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更している。ところが、2023年度には7対1病床である急性期一般入院料1の算定病棟は増えており、「機能分化の推進」という厚労省の思惑と逆の傾向が見られていた。

一般病棟用の必要度に関するこれまでの議論では、
「急性期一般入院料1においてはB項目以外の項目による評価を重視すべきではないか」
「ADLの低下した患者に対するケアの評価の観点からは、B項目による評価は重要ではないか」
といった意見が出ている。

▼平均在院日数の長い群はB項目で「かさ増し」か
この日、示された資料によると、急性期一般入院料1のうち、平均在院日数の長い群では、B得点3点以上の割合と「基準2または基準3に該当はしないが、基準1に該当する」割合は、同入院料2や4よりも大きい傾向があった。

一方でA得点2点以上の割合と基準2、基準3に該当する割合は、同入院料2のうち平均在院日数の短い群との差が見られなかった。

これらを踏まえて厚労省は、同入院料1のなかで平均在院日数の長い群は、全身麻酔手術や救急搬送の件数、1日あたりの医療資源投入量が低くなっていることも指摘しつつ、「B得点が3点以上の割合や、必要度の基準に該当する患者のうち基準1のみで該当する割合が高い傾向も見られた」と分析した。

▼7対1病棟では「初日からB得点3点以上」は少数派
入院初日のB得点の内訳にも言及し、入院初日にB得点が3点以上である割合は、特定機能病院や同入院料1で低く、同入院料2~5や地域一般入院料1で高い傾向を紹介した。
入院後の日数ごとのB得点の推移にも触れている。
急性期入院一般料1、一般入院基本料全体のいずれも、入院中にB得点が3点以上となる割合は、入院初日にB得点が3点以上である場合に高く、入院初日にB得点が2点以下である場合との差が大きい傾向があると説明した。

また入院2日目以降にB得点が3点以上となる割合は、入院初日のB得点が0か1点である場合は入院料間では大きく変わらず、入院初日のB得点が2か3点である場合では、特定機能病院や急性期一般入院料1よりも急性期一般入院料4・5や地域一般入院料において、入院2日目以降にB得点が3点以上となる割合が高かったという。

必要度見直しの歴史は「7対1病棟の転換後押し」の歴史とも言えるが、今回の議論ではとりわけB項目の再考によってそれを推進する姿勢がうかがえる。
ただ、そもそも入院患者の大半は少なからずB項目で点数化する高齢者であるだけに、過度な軽視は現場の混乱を招きかねない。中医協での医療側の巻き返しが注目される。

ひとこと:オンライン請求について

「本当に小さい地域の少ない診療所等かもしれませんけれども、まだ紙レセプトは残っているのではないかと思っています。それがどの程度の割合なのかを参考にしながら、やはり全てゼロにするというのは相当ハードルが高いと思うので、その辺については、(既に原則、オンライン請求の)介護保険の現在のオンライン請求の現状も踏まえて、丁寧に慎重にやっていただきたい。」
池端幸彦
日本慢性期医療協会副会長
~2023年9月7日 社会保障審議会医療保険部会

今週の数字:5100万件

オンライン資格確認の利用状況。本格運用開始から2023年8月末までの期間で、オンライン資格確認等システムを活用した資格確認が約16.4億件行われた。そのうちマイナンバーカードによるものは約5100万件だった。保険証によるものは約15.8億件であり、合計約16.4億件。(出典:10月11日中央社会保険医療協議会総会資料「オンライン資格確認等について」)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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