社会保障短信(9月25日号)

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トピックス…老健・介護医療院における21年度改定の影響を調査
ひとこと…診療報酬改定DXについて
今週の数字…2.5%

トピックス:老健・介護医療院における21年度改定の影響を調査

▼入院医療の議論を継続
中央社会保険医療協議会入院・外来医療等の調査分科会は9月6日の第6回会合で、「急性期入院医療について(その3)」「回復期リハビリテーション病棟について(その1)」「慢性期入院医療について(その2)」を、厚生労働省の提示した論点に沿って議論した。

▼改定議論にあわせて「速報値」を報告
社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会が9月21日に開かれ、「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」の速報値(案)が示された。今回の内容は今後の介護報酬改定の議論に必要な内容を中心にまとめており、全体の調査結果は最終版で報告するという。

調査内容は

(1)介護サービス事業者における業得継続に向けた取り組み状況の把握およびICTの活用状況
(2)介護老人保健施設及び介護医療院におけるサービス提供実態等
(3)個室ユニット型施設の整備・運営状況
(4)LIFEの活用状況の把握およびADL維持等加算の拡充の影響
(5)認知症グループホームの例外的な夜勤職員体制の取扱いの施行後の状況把握・検証、必要な対応の検討
(6)認知症介護基礎研修受講義務づけの効果

――の6項目。

▼介護医療院の協力病院は慢性期病院が中心か
このうち「(2)介護老人保健施設及び介護医療院におけるサービス提供実態等」は、病院との協力体制などを調査しており、並行して進んでいる診療報酬改定の議論にも影響を及ぼしそうだ。

介護老人保健施設(老健)と介護医療院の協力病院の種別については、老健は地域医療支援病院が35.8%、在宅療養支援病院(在支病)が8.7%を占めていた。協力病院が有する病床の種類で最も多かったのは急性期一般病棟で57.9%。

介護医療院は地域医療支援病院が25.9%、在支病は11.9%を占めていた。また協力病院の有する病床で最も多かったのは療養病棟で47.6%。介護医療院の協力病院として、慢性期病院が大きな役割を果たしていると推察できる結果が出た。

病床については、老健、介護医療院いずれの協力病院でも、地域包括ケア病棟は老健が38.6%、在支病が35.4%だった。

▼施設との関係で受入に違い
入所者が急変した時の対応についても聞いている。「外来受診を受けてくれる」は、老健で平日日中は86.7%、夜間休日が59.8%。介護医療院では平日日中が57.8%、夜間休日が38.8%だった。

「往診に来てくれる」は、老健で平日日中が14.1%、夜間休日が13.5%。介護医療院で平日日中、夜間休日とも42.5%だった。

入院受け入れについては「基本的に受入してもらえる」が老健で66%、介護医療院で82.7%。ただし、老健は「おおよそ5~9割受け入れてもらえる」も18.3%あった。

病院との関係別で入院受入状況を見ると、「基本的に受け入れてもらえる」が、老健では併設病院が81.8%、同一法人・関連法人の病院が67.3%、同一法人・関連法人以外の病院が58.1%。介護医療院ではそれぞれ89.8%、71.4%、76.3%となっている。

電子カルテの共有や入所者の健康情報に関する定期的な共有、病院・施設の関係者による定期的な会議の実施も、併設病院、同一法人・関連法人、同一法人・関連法人以外の順で割合が減っていた。

▼薬剤調整や口腔管理、栄養管理は過半数が実施
ポリファーマシー対策についても聞いている。薬剤調整を積極的に実施しているかとの問いに対しては、老健、介護医療院とも「はい」が61.2%だった。

口腔衛生管理については、口腔内スクリーニングを「全員に実施している」との回答が、老健で52.7%、介護医療院で57.5%を占めた。スクリーニング実施にあたっての歯科医師の指示は、老健の73.8%、介護医療院の68.3%が「ある」と答えている。

栄養マネジメントについては、「栄養マネジメント強化加算」の算定を尋ねており、2023年6月で「あり」と答えたのが老健で44.3%、介護医療院は38.4%だった。
同加算を算定していない理由としては、老健、介護医療院とも「管理栄養士を増員しても採算が合わない」が最多だった。

口腔ケア、栄養管理は前回改定で特に話題となった改定項目で、今回は同時改定となる診療報酬改定でも話題となっている。
今回の調査結果を受けて、今後どのような議論が展開されるか、注目が集まりそうだ。

ひとこと:診療報酬改定DXについて

「診療報酬改定DXへの対応のコストが薬局や医療機関に転嫁され、追加的なコストが発生することも含めて負担が増加することは、施行時期が2回に分かれたとしても確実にあり得ないものであり、実際に診療報酬改定DXに対応する厚生労働省としては、ベンダーを含む関係者とも認識を一致させながら進めるべきであると強調させていただきます。」
森昌平
日本薬剤師会副会長
~2023年8月2日 中央社会保険医療協議会 総会

今週の数字:2.5%

医療費全体の伸び率。診療内容別に見ると、「入院基本料、特定入院料等」が1.6%、「手術・麻酔」 「DPC包括部分」「薬剤料」がプラスの影響、「リハビリテーション」が0.2%とマイナスの影響を示している。(出典:厚生労働省「令和4年度 医療費の動向~概算医療費の集計結果~」2023年9月13日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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