資金難を乗り切る! ―「介護報酬ファクタリング」
Vol.1
介護事業所の資金繰り最新事情

コロナ禍における各種特例制度の終了やエネルギーコスト・人件費の高騰などで、毎月の返済や固定費の負担増に耐えきれず倒産に追い込まれたり、休廃業を余儀なくされる中小介護事業者も増えている。 こうした状況下、地域で事業を継続するためには「効果的な資金繰りが必要です」と、リコー系のリース・金融会社のリコーリース株式会社の石田直也氏は強調する。 これから3回にわたり、資金繰りの重要性やその方策の一つである「介護報酬ファクタリングサービス」について解説してもらった。

コロナ禍を経て資金繰りに
課題を抱える中小事業者

リコーリース株式会社 BPO本部 決済営業課 石田直也氏の顔写真

リコーリース株式会社 BPO本部 決済営業課 2グループリーダー アシスタントマネージャー 石田直也氏

コロナ禍を経て、中小介護事業者の経営環境に大きな変化が訪れています。それは、資金繰りの悪化です。

振り返ること約4年前。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、特例の無利子無担保融資(ゼロゼロ融資)や補助金・助成金、社会保険料等の納付猶予特例制度など、事業の継続に支障がある介護施設を対象に、行政は数々の支援を実施しました。
これらを活用し嵐を乗り切ったお客様をたくさん見ましたし、融資が受けやすくなったこともあり手元キャッシュが潤沢になった事業者もいたようです。

ところが、こういった特例制度のほとんどは昨年時点で終了し、現在は回収フェイズに移行しました。コロナ禍をきっかけにサービス利用者が激減し、元の水準に戻らないなかで毎月の返済は苦しいうえ、近年はエネルギーや食材など各種コストも上がっており、収益面で苦しんでいる事業者が後を絶ちません。

何より厳しいのは人件費の負担です。競合との差別化を図るには給与を上げざるを得ず、採用するとき人材紹介会社を使うと多額の紹介料もかかります。
民間の営利企業は人件費に合わせて商品・サービス価格を引き上げることができますが、介護事業はサービス単価が決まっているので、そうはいきません。人材がいないと事業自体が回らず、人材確保を優先すると収益を圧迫するといったジレンマに陥っているケースが多く見られ、経営状況は決して芳しくありません。

そうした窮状を示すかのように、東京商工リサーチの調べによると、2022年の介護事業者の倒産件数は143件と過去最高で、休廃業・解散も最多を記録。2023年1〜8月の訪問介護事業者の倒産件数も前年同期比46%増・過去最高の44件に上りました※。

収入と支出を可視化し
可能な限りの手を打つ

中小介護事業者の場合、人手の問題もあるのでしょうが、現場にこだわるあまり経営がおろそかになり、収支を明確に把握していない方も少なくありません。
利用者やスタッフと接することも大切ですが、マネジメントのトップだからこそ経営者目線に立って事業にまつわる数字を可視化し(図表)、収支の改善や支出の削減について具体策を講じることが肝要となります。

私たちがかかわってきた事業者のなかには、人材紹介会社を通さずリファラル採用に力を入れたり、研修やレクリエーションなどを通じてスタッフ・利用者との一体感を醸成するなど、率先して改善に取り組む経営者もいらっしゃいます。
稼働率もしっかり管理し、空いた枠があれば埋めるなど売上げ増に向けた施策を打つ、あるいは、一施設における売上げのアッパーはある程度決まっているので、拠点を増やすなど規模の拡大をはじめとする投資に注力する事例も見られました。

介護事業の経営者の責務は事業を持続させ、地域における介護や雇用を守ることですから、そのためにも収支を含めた経営に関心をもち、しっかりとしたかじ取りを行うことが求められます。

こうした点にご自身が不十分とお考えでしたら、まず事業計画を今一度策定し直すと同時に収支のチェックから始めてみてください。人件費や上昇した水道光熱費・ガソリン代が収益を圧迫しているとわかるだけでも課題意識につながりますし、総合マネジメント体制強化加算など、取得できそうなのに算定していない加算の申請に動く契機になります。
コロナ関連の融資などで現金があるからといって、何もせず放置していると、あっという間に経営は立ち行かなくなります。

介護経営チェックリスト

事業計画を見直し
キャッシュを厚くする

特例制度が終了したうえに融資の返済が始まり、利用者が戻らない一方で人件費やその他経費は上昇の一途といった状況のなか、中小介護事業者には今後、自立した資金確保策が求められます。
手元にあるキャッシュを厚くすることで、支出増に備えるなど守りの経営に役立ちますし、設備投資や人材獲得など攻めの経営に活かすこともできます。

制度ビジネスの介護事業は定期的に介護報酬が得られ取りはぐれがないので、ストックに意識が回らず自転車操業になりがちですが、せめて半年分の運転資金を備え、返済に耐えられる体質にしておくことです。

そのためには、外部機関を活用した資金繰りも重要な戦略の一つとなります。
ただ、現時点で利益が改善せず未払いも増えているといった厳しい経営状況にある場合、融資の相談をしても満足のいく結果につながらず決裁までに時間を要することになり、事業者の皆さんの頭を悩ませていることでしょう。

こうしたなか注目されているのが、介護事業者向け資金繰りサービス「介護報酬ファクタリングサービス」です。これは、介護事業者が国民健康保険団体連合会に対して請求する介護保険給付費分について、手数料を差し引いた額を前倒しして前払いするサービスのことで、キャッシュフローの改善や借入金の圧縮、新たな資金需要に備えるなど、さまざまなニーズに応えられるのが特徴です。

当社では2011年からこのサービスを始め、これまで多くの介護事業者にご利用いただいています。
次回は、この新たな資金調達の手段について詳しく説明します。
(取材・文/大正谷成晴)

● COMPANY DATA ●
リコーリース株式会社
東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニ ガーデンコート
TEL:03-6204-0672 (BPO本部 決済営業課)

介護報酬ファクタリングサービスについてはこちらから

TAGS

検索上位タグ

RANKING

人気記事ランキング