制度と経営に強くなる!
なぜ今、介護現場の「生産性向上」に
「伴走支援」が求められているのか
介護事業所のリーダーが、今、知っておくべき知識を、業界に精通したC-MASのプロフェッショナルが伝授
介護現場は今“構造的な変化”のなか
今、全国の介護事業所に「生産性向上」が強く求められています。これは単なる“効率化”の話ではありません。日本の超高齢社会と生産年齢人口の減少という構造的な変化のなかで、これからの介護は「少ない人数で、より良いケアを提供し続ける仕組み」が必要不可欠になってきたということです。
“生産性向上”とは、介護ロボット等のテクノロジーを活用し、業務の改善や効率化等を進めることにより、職員の業務負担の軽減を図るとともに、生み出した時間をケアに充てて質の向上にもつなげる取り組みです。
変化の起点は「気づき」から
ICT活用や業務改善を進めるとき、最初のきっかけは「気づき」です。
たとえば、「夜勤者の負担が大きく記録も追いつかない」と現場で課題が共有されたとき、「じゃあ今、何ができるか」と話し合いが始まる。そこから、小さな改善の連鎖が生まれます。“職員のケアの時間を取り戻す”それこそが生産性向上の本質です。
内部の職員だけでなく外部の専門家も交える
改善を進めるには、「誰かひとりが頑張る」のではなく、「みんなで育てる」仕組みが大切です。ありがちなのが、「詳しい人が1人いて、全部任せてしまう」パターンです。こうした属人的な進め方では、担当者が異動や退職したとたんに止まってしまうリスクを抱えます。
そこで今、注目されているのが“伴走支援”です。外部の専門家が、現場と一緒に課題を整理し、「できること」から無理なく始められるよう導いてくれる。導入するICTの選定、職員への説明や研修、運用ルールの設計、ちょっとした困りごとの相談まで、一つひとつ伴走しながら支援する仕組みです。
たとえば、「記録が負担だ」「情報共有がうまくいかない」といった現場の悩みに対し、実情に合ったツールを一緒に選び、合意を取りながら導入した事業所では「無理なく使い始められた」「現場の声を拾ってくれるから安心」という声が上がっています。
こうした支援の必要性は、厚労省が示す「介護サービス事業者の生産性向上や協働化等を通じた職場環境改善事業(通称:介護現場デジタル改革パッケージ)」の中でも明記されています。具体的には、テクノロジーの導入支援に加えて、業務改善支援を受けることが必須とされており、職場環境の改善と人材定着を図ることが重要とされています。ICT化や業務改善は、“外から与えられるもの”ではなく、“現場で納得して育てていくもの”です。そのためにも、内と外がチームとなって進める「伴走型」の取り組みが、これからの介護現場にフィットすると考えています。
導入でとどめず環境整備にも配慮
ICTを導入しても、「使いにくい」「重い」といった声が出ることがあります。その多くは、通信環境や端末の性能、操作研修の不足といった整備不足が原因です。
現場で安心してICTを使える環境が整っていれば、記録業務が効率化され、情報共有もスムーズになります。結果的にケアの質を維持しながら、働く人の負担を軽減できる。これが、生産性向上の具体的な成果です。
介護現場における生産性向上は職員を減らすことではありません。“今の職員で、今のサービスをこれからも提供し続けるため”の取り組みです。だからこそ、効率化やICT導入は目的ではなく手段であり、「うちに合ったやり方」を一緒に見つけていくことが大切です。
わからないところから始めていい。むしろ、そういう現場こそ、外部と手を取り合いながら進めることで、大きな変化を起こせます。
私たちは、その一歩を、いつでも支えます。(『地域介護経営 介護ビジョン』2025年5月号)
株式会社ビーブリッド代表取締役
一般社団法人日本ケアテック協会
事務局
一般社団法人
介護離職防止対策促進機構理事
「たけした・こうへい●1975年青森県生まれ。SE、システムコンサルタント等を経て、2007年より介護業界でシステムエンジニアとしてICT業務全般に従事。2010年に株式会社ビーブリッドを創業。介護事業者向けICTサポートサービス「ほむさぽ」を中心に、介護業界のICT利活用と普及のための相談・代行業務等を展開。介護業界のICT活用を促進するため、各行政や団体等での講演活動や新聞・雑誌・メディアサイト等さまざまな媒体で情報発信中。ポリシーは「介護現場でのICT活用推進と、それによって発生する新たな現場の負荷を抑え込んでいくことが私の役割」
株式会社ビーブリッド | ||
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