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処遇改善3加算の特徴と
算定の重要性

介護事業所のリーダーが、今、知っておくべき知識を、業界に精通したC-MASのプロフェッショナルが伝授

処遇改善3加算の特徴を振り返る

処遇改善3加算とは、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3つを指し、ともに介護現場で働く人たちの賃金水準を引き上げるための加算です。図表にもまとめましたが、加算額や算定要件などを確認していきましょう。

図表　介護職員処遇改善加算の区分とキャリアパス要件

1)介護職員処遇改善加算

介護職員のみを対象とし、算定要件として、「キャリアパス要件」「職場環境等要件」の充足度に応じて分けられます。
職場環境等要件とは、賃金改善を除く職場環境等の改善のことで、人材採用時の仕組み等の「入職促進に向けた取り組み」、研修受講支援等の「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、子育てや家族の介護との「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」、ICT活用等による「生産性向上のための業務改善の取り組み」、「やりがい・働きがいの醸成」になります。
この6項目のうち1項目以上に取り組んでいることが要件です。

2)介護職員等特定処遇改善加算

事業所が、①経験・技能のある介護職員、②その他の介護職員、③その他の職種――に配分します。ほかの産業と遜色のない賃金水準をめざすための加算で、介護職員以外の職員の処遇改善に充てることもできます。
算定要件としては、①介護職員処遇改善加算(I)~(III)のいずれかを取得していること、②介護職員処遇改善加算の「職場環境等要件」について複数の取り組みを行っていること、③介護職員処遇改善加算に基づく取り組みについて、ホームページへの掲載等「見える化」を行っていること――のすべてを満たしていることが要求されています。

3)介護職員等ベースアップ等支援加算

介護職員を対象としますが、事業所の判断により、ほかの職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう、柔軟な運用が認められています。
算定要件は、①介護職員処遇改善加算(I)～(III)のいずれかを取得している、②加算額の3分の2は介護職員等のベースアップ等、つまり基本給または毎月決まって支払われる手当の引き上げに使用する――になります。

改めて考える算定の重要性とは

我が国の総人口は、2021年10月1日時点で1億2,550万人となっています。65歳以上の人口は3,621万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も28.9％(内閣府『令和4年版高齢社会白書』P.2より)と超高齢社会ですが、一方では介護現場での人手不足や離職率の高さから、箱モノが増えても職員が不足していて利用者が入所できないような状態が続いています。さらに、現場での昇進・昇給も少なく、夢のない職場であると言われているのが現状です。
また、2010年9月から10月にかけて行われた「介護保険制度に関する世論調査(社会保障審議会介護給付費分科会第70回(2010年12月24日)資料6より)」での介護職に対するイメージ(複数回答)では、「社会的に意義のある仕事」とする人が58.2％であったのに対し、「夜勤などがあり、きつい仕事」とする人が65.1％、「給与水準が低い」とする人も54.3％と、介護職に対するマイナスイメージを窺わせる回答となっています。
そのため、この処遇改善3加算はそのマイナスイメージを払拭するための重要な加算であると言えます。厚生労働省も資料の中で「中小事業者も多い、介護事業者の職場環境づくりを全政府的な取り組みと位置づけ、自治体や事業者も巻き込んで推進し、その成果を従業員の賃金に適切に還元していただくことについて期待したい」としています。（『地域介護経営 介護ビジョン』2023年7月号）

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