制度と経営に強くなる!
LIFE(科学的介護情報システム)の
重要性を探る
介護事業所のリーダーが、今、知っておくべき知識を、業界に精通したC-MASのプロフェッショナルが伝授
介護事業者からは好意的な反応が多い
厚生労働省は、「2021年度介護報酬改定において、科学的に効果が裏付けられた自立支援重度化防止に資する質の高いサービス提供の推進を目的とし、LIFEを用いたPDCAサイクルの推進及びサービスの質の向上を図る取り組みを推進する」と、LIFE(科学的介護情報システム)の目的を明記し、2021年4月にLIFEの運用が開始されました。運用開始から約1年後の2022年3月7日、厚労省は「社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会」を開催して、LIFEの活用状況等に関する調査の結果案を公表しました。
その「LIFEを活用した取り組み状況の把握及び訪問系サービス・居宅介護支援事業所におけるLIFEの活用可能性の検証に関する調査研究」のなかで、「LIFEを活用することで役に立った点」の調査結果があります(図表)。有効回答のなかで多かったのは、次のとおりです。①LIFEに利用者のデータを入力し管理することで、利用者の状態や課題を把握しやすくなった(34.8%)、②LIFEを活用した取り組みを通じて、利用者のアセスメント頻度が統一された(23.9%)、③LIFEを活用した取り組みを通じて、利用者のアセスメント方法が統一された(23.3%)。
前向きな回答が多かった反面、「現時点では上記のいずれにも当てはまらない(33.1%)」と、「活用はしているけれど、まだどう役に立つかわからない」という回答が3割あったのは気になるところです。
また、LIFEにデータを入力するのに、インポート機能を活用しているという回答が71.2%ありました。LIFE対応の介護ソフトが増えてきている結果ですが、そもそも介護事業経営において介護ソフトを活用しDX化を推進していくことは、時代の流れからも必須になってくるのではと感じます。加えて、業務効率の改善は、慢性的な人材不足、現場の負荷低減にもつながることになります。
図表 LIFEを活用することで、ケアの一連の活動(介護過程の展開)のプロセスの中で役に立った点
資料:厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会「LIFEを活用した取組状況の把握及び訪問系サービス 居宅介護支援事業所におけるLIFEの活用可能性の検証に関する調査研究事業 (結果概要)(案)」より
LIFE導入を経営に活かすポイントとは
「LIFE未登録事業所における今後のLIFE活用意向」のところで、「LIFE未登録事業所におけるLIFEを活用したいと思わない理由」のなかに、「データを入力する職員の負担が大きい(63.8%)」「データ連携が可能な介護ソフトを導入していない(25.2%)」という結果が出ていますが、それが前述のことの反面として物語っています。
LIFE導入のメリットとして、▽LIFEに蓄積・収集したデータの活用により介護の質が向上する、▽加算が受け取れる――が挙げられます。科学的介護を業務のPDCAに組み込めば、さらによい循環が生まれます。ADLや栄養状態の改善など、さまざまな効果が見込まれますし、加算も相まって大きなメリットとなるはずです。
「科学的介護」について、厚労省にやらされていると思っている事業者の方もかなりいらっしゃると聞きます。しかし、この「科学的介護/科学的介護情報システム(LIFE)」を実践することを、事業所のブランディングに大いに活かすべきです。たとえば、地域へは「当事業所は科学的介護を実践し、利用者の皆様にはより高度なエビデンス(科学的な根拠)に基づいて笑顔と幸せな介護を実践しています」、求人には「当社はより高度な科学的介護に基づくDX化を推進、働く方にもそのスキルを活かしていただける職場づくりをめざしています」などと謳われてはいかがでしょうか。
結果、いろいろな「人」が集まる場としての介護事業所を実現する一助になるのではないかと思います。(『地域介護経営 介護ビジョン』2023年2月号)
C-MAS介護事業経営研究会からのお知らせ
2022年秋に開催された「C-MAS全国大会ver.2022」は大好評で開催されました。大会タイトルは「令和6年度介護保険法改正、報酬改定はどうなる?求められる大規模化、ICT化と新時代の介護ケアのあり方」です。
現在、その模様を収録した動画配信も好評です。よろしければご覧ください。詳細はこちら
C-MAS 介護事業経営研究会事務局長
株式会社実務経営サービス
代表取締役社長
いたがき・まこと●2009年、全国の介護事業者を経営支援する「介護特化の会計事務所」のネットワークC-MAS発足に小濱道博先生と尽力し、発足と同時に事務局長就任。以降C-MASネットワーク拡大と同時にC-MAS全国大会や先進介護事業所見学会などのイベントも手掛ける
◆介護事業に特化した経営・税務の専門家集団
C-MAS介護事業経営研究会
Care-Management Advisory Service
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