制度と経営に強くなる!
あと2年を切ったBCP策定
そのキーワードはBCP委員会

介護事業所のリーダーが、今、知っておくべき知識を、業界に精通したC-MASのプロフェッショナルが伝授

BCPは2022年度中に大半が完成予定

独立行政法人福祉医療機構(WAM)の調査によりますと、8割の介護施設、事業者が2022年度中までに業務継続計画(BCP)の策定が終了予定であると回答しています(図表)。看護小規模多機能型居宅介護はすべての事業所で2022年度中までに完了予定で、小規模多機能型居宅介護は81.7%、グループホームは77.0%、特別養護老人ホームは77.3%、介護老人保健施設は73.3%が2022年度中に完成とのことです。

今、介護施設ではオミクロン株に「よるクラスターが過去最大となっています。在宅サービスでも、職員が濃厚接触者になったり、保育園が休園となって子どもが家にいるために職員が出勤できず、勤務シフトに苦労する事業所も多いようです。
また九州や東北など、日本各地で大きな地震が続いています。あらためて震災を経験してBCPの重要性を認識された事業者も多いのではないでしょうか。BCP策定には早期の取り組みが求められており、全国の介護福祉BCPマスターは、クライアントを中心にBCPの策定支援を急いで行っています。

図表 業務継続に向けた取り組みの強化(すべて完了する時期)

お近くの介護福祉BCPマスターを活用しよう

介護福祉BCPマスターとは、C-MAS介護事業経営研究会が主催する介護福祉のBCP作成コンサルティング資格です。今年1月に全国で32人のBCPマスターが誕生しました。今後はさらに増えていくでしょう。この資格は会計事務所、社会保険労務士事務所が母体で、顧問先を中心に作成支援を行っています。

BCPの策定が義務化になり、策定期限は2024年3月です。しかし、まだまだBCP策定に未着手の介護施設や事業所も多く、いまだに「BCPって何?」という事業所もあるのが現状のようです。BCPは近将来起こりうるリスクから身を守るものです。ご存じのとおり、自然災害と感染症は今日も皆さんの身近で起きています。BCPを策定しているかいないかによって、実際の被害リスクは大きな差が生まれます。さらに策定をして終わりではなく、地域や環境の違いに合わせて研修と訓練をし、見直しも求められています。

BCP策定には時間がかかります。その策定期間は一般的に6カ月から1年を要します。実際に、全国の事業所様のBCP策定のお手伝いをしていますが、多くの時間と手間がかかるため、すぐに着手すべきです。

BCP策定のためにまずはBCP委員会を設ける

BCPは全職員で取り組むものです。まず、法人内に「BCP委員会」を設けましょう。事業所ごとに委員を選出して、最初に拠点ごとの現状を把握します。問題点を共有して、その対策をBCP委員会で話し合い、策定を進めていきます。そして、BCPは拠点ごとにつくり、委員会では共通事項の検討と全体の統括を行います。

BCP委員会の役割は策定だけではありません。実用的なBCPをつくるにあたって重要なのは、現場職の声を吸い上げることです。このことが、職員とのコミュニケーションにつながり、さらに職員育成、定着にもつながります。
また、研修や訓練(シミュレーション)は定期的な開催が義務化されています。研修等を通じて策定したBCPの実効性などを検証し、見直しも行っていきます。

さらに、介護サービス事業者には地域の高齢者のライフラインという大きな役割があります。地域の防災訓練に参加するなど、BCPの取り組みを広げることで、地域に密着した事業所としての信頼も得ることができます。完成したBCPを一般公開することで、地域からの信頼向上や施設事業所のアピールにもつながり、地域との強いパイプを築くことにもなります。それは結果として、業績向上を期待することもできます。

また、地域の高齢者を守るという大切な役割の貫徹には、職員が安全に働けることが最も重要です。万が一、自然災害や感染症に見舞われても、いち早く再開することで、BCP本来の目的である「法人を倒産させない」「廃業させない」「縮小させない」が実現できます。それが、最終的に職員を守ることにつながるのです。BCPの重要性を、今一度再認識しましょう。(『地域介護経営 介護ビジョン』2022年5月号)

CMASプロフェッショナル
顧問
こばやし・かおり●株式会社ベストワン代表取締役、一般社団法人コグニティブ・サポート代表理事。全国の介護保険施設、障害福祉施設にてBCP作成コンサルティングを手がけ、最大拠点120カ所を有する医療介護法人のBCP作成実績は稀有。セミナー講師としても活躍しており、BCP講座、感染症対策等をテーマに、介護施設の個別研修、個別指導を手がける。著書は「これならわかる<スッキリ図解>介護BCP(業務継続計画)」「コロナ時代の介護事業戦略」(以上、翔泳社)
株式会社ベストワン
●東京都台東区台東 1-14-10-801 TEL:03-6284-4085
◆介護事業に特化した経営・税務の専門家集団

C-MAS介護事業経営研究会
Care-Management Advisory Service
介護事業者の経営改善をサポートする会計事務所(税理士・公認会計士)で組織する、全国的なネットワーク。介護現場を熟知したプロフェッショナルたちが、経営改善はもちろん、戦略立案や実務においても一歩踏み込んだコンサルティングを行っています。本部事務局にお問い合わせいただければ、ご相談内容のソリューションを得意とする、地域に根づいた専門家をご紹介します。また各支部では、経営に役立つセミナー等を開催しています。

▼お問い合わせ・ご相談はこちらから
介護事業経営研究会 本部事務局
●東京都豊島区東池袋1-32-7 大樹生命池袋ビル7F
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TEL:03-5928-1945    URL:c-mas.net

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