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業務継続計画(BCP)策定で勘案すべきストレスケアとは[第2回]

介護事業所のリーダーが、今、知っておくべき知識を、業界に精通したC-MASのプロフェッショナルが伝授

日々のメンタルケア対策が惨事に活きる

3年後には完全義務化されるBCP策定。その検討過程において、メンタルケアの部分では、被災時と感染時、それぞれに対応できるように取り組みましょう。何よりもメンタルケアは、日頃の取り組みが重要です。それができていないと、実際の惨事時の的確な対応は不可能と言えます。日々の小さなメンタルケアが、いざという時に大きな差を生むことになります。

今、日本では大きな地震発生のニュースが続いています。そのたびに緊張感が走り、BCPをつくることの重要性を介護現場ではヒシヒシと感じていることと思います。さらに言えば、今回のコロナ禍のなかでも厳しい状況を経験されていると思います。「ケアする側の心のケア」は重要であり、日頃から心のケアにしっかりと取り組むことで、介護者の心にゆとりが出てきます。そうすることで、相手にもゆとりをもった接し方ができて、最終的にケアの質も上がります。

ここ1年以上、コロナ禍が続いています。実際に感染者が出た施設や事業所のニュースや情報を聞くたびに、怖い思いをした人がたくさんいたでしょう。自分が(ウイルスを)うつすのではないかという怖さ、自分がうつされるのではという怖さがずっとつきまとう日々。介護という仕事は、三密や対面を避けて過ごすことが難しいという現実があります。それを回避することは難しいけれど、考え方の角度を少し変えるだけで気持ちが楽になることがたくさんあります。

そしてストレスは、職場だけでなく、コロナによって今までとは違う生活スタイルを強いられたことで、さらに自分自身にため込みやすくなります。こんなときこそ、自分自身の心のケアに真剣に取り組んでほしいと思います。

身近にある、ストレスを引き起こすストレッサー

そもそもストレスとは何でしょうか……。
基本的な知識として知っているほうが、ストレスに対処しやすくなります。人は誰しも、職場の人間関係、環境や家族など周りの人や出来事から、いろいろな影響を受けます。これを外部からの力としてストレッサーと呼びます。

風船を思い浮かべてみましょう。風船に対して外側から力を加えると、反発して元に戻ろうとします。しかし結局は、外部からの力に負けてしまい、つぶれてしまいます。ストレスがかかっているという状況は、心の風船がこのストレッサーの力に負けて、元に戻せなくなることを表しています。
そしてこのストレスは誰にでも生じるものです。このストレスの度合いにより、日常生活や心や身体に負担がかかり、不調や不眠などの変化が起こるのです。

さらに言えば、自分がストレスを抱え込んでいるという事実に気付いていないことも少なくありません。気付いていないと、ストレスに対処できず、ストレスで一杯になり、心身に悪い影響を与えてしまうのです。誰もが知らず知らずのうちに心身にストレスをため込んでいる可能性があります。
ですから、ストレッサーが何かを知り、対応していくことが大切です。ストレッサーから離れる以外に、身体の状況を良くすることもストレスを軽減させる方法の一つです。

たとえば、運動不足の場合は、朝晩1日10分間だけ早歩きをしてみましょう。一週間でおおよそ150分相当を続けることで、4年半の寿命を延ばせるという研究結果が出ています。運動不足の解消は、不眠症の改善にもつながります。
睡眠不足は、自ら無理したことでなりがちな部分ですが、忙しいからこそ自分のために睡眠をとるように、心がけてみてください。惨事の時は、特に重要です。

また、孤独の状況を回避することもストレス対策には必要です。コロナ禍では、孤独を感じる人が増加したことで、自殺者が増えたとも言われています。孤独の状況は人それぞれ感じ方が違いますが、孤独を感じている人自身からコミュニケーションをとるだけでは、孤独の状態を回避しにくいものです。孤独を感じている感じていないにせよ、周囲の人に声をかけるなど、小さなコミュニケーションを積み重ねることで、孤独に悩む人が減少します。

疲れやストレスの原因は忙しさではなく、自由な時間がないことと言われています。つまり、他人のペースで自分の生活を動かされるのが、疲れの本当の原因です。言い換えれば、自分が思い通りになる自分らしい時間を、生活の中に少しでも増やしていくことが、疲れを取るためには大切です。忙しいからこそ、自分らしい時間をあえて取り入れていただきたいと思います。(『地域介護経営 介護ビジョン』2021年5月号)

小林香織
こばやし・かおり●一般社団法人コグニティブ・サポート代表理事、コグニティブ・サポート・グループ代表、21世紀介護事業創造塾顧問、C-SR医療介護経営研究会事務局長。心理学を用いたストレス対策、メンタルヘルスに関する講演を主に介護施設、事業所を対象に行っている。自社主催セミナーも月1回のペースで開催する。コロナ渦対策で職員のメンタルケアが急務な中で、介護施設の個別研修、指導を行う。介護ビジョン誌に「未来カイゴ談義」を連載中。著書「コロナ時代の介護事業戦略」翔泳社刊
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