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介護事業所のリーダーが、今、知っておくべき知識を、業界に精通したC-MASのプロフェッショナルが伝授

「感染症対策」の面では、対応しやすい新型コロナ

今回のコロナ禍の問題に対して、介護事業所はその対応に追われる日々が続いています。
事業所として開業していてよいのか、業務を継続する場合、どのような点に注意するべきかなど、事業所として情報を収集しなければならない事態となっています。
厚生労働省はいち早く今年1月29日に「新型コロナウイルスに関するQ&A」を皮切りに、介護保険最新情報にて矢継ぎ早に対応の方針を示してきました。その内容は新型コロナウイルスに対する正しい知識と、発生地域への訪問歴がある職員などがいる場合の対処、そして大幅な人員基準の緩和というものでした。

しかし、今回のように感染症によって事業所が対応しなければならない事態は実は初めてではなく、2009年に流行した新型インフルエンザでも同様のことが起こりました。
その結果、衛生管理を徹底すること、定期的に衛生管理の研修を行うことなど、感染症予防に取り組む事業所が大半を占めるようになったのですが、そのころから感染症予防の意識づけはなされており、多くの事業所は今回の出来事に危機感を抱きつつも、比較的冷静に受け止めたのではないかと思われます。

自治体によって異なる休業要請の要件

しかし、休業要請については各自治体によってさまざまです。
たとえば東京都では、「老人福祉法・介護保険関連の施設」については「適切な感染予防策の協力を要請」としており、休業指定の対象ではありませんでした。一方、私の営業エリアである兵庫県では、「老人福祉法・介護保険法関連の施設」は東京都と同様に原則対象外ですが、「通所または短期間の入所の利用者については、家庭での対応が可能な限り利用の自粛を要請」とあります。
となると、たとえば通所介護(デイサービス)の場合だと、「家庭での対応が可能」な方についてはお家にいていただき、利用を自粛していただくということになります。

また、4月1日の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」では、「感染が流行している地域においては、福祉施設での通所サービスなどの一時利用を制限(中止)する」という提言が出たことを受けて、通所・短期入所は地域によっては休業を余儀なくされるケースも出てきています。
また、仮に開業していた場合でも、人員的な問題やサービス提供の方法について、従来の介護保険法等に定められる要件を満たすことができないケースも考えられます。

その場合、厚労省は「令和元年台風第19号に伴う災害における介護報酬等の取扱いについて」という通知の内容を援用する形で「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」にて、人員基準を緩和しています。
紙幅が限られているので、当該通知の詳細な内容をお伝えすることはできないのですが、たとえば通所系であれば、「居宅で生活している利用者に対して、利用者からの連絡を受ける体制を整えたうえで、居宅を訪問し、個別サービス計画の内容を踏まえ、できる限りのサービスを提供した場合、どのような報酬算定が可能か」という問いに対して、厚労省は「提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分(通所系サービスの報酬区分)を算定する。ただし、サービス提供時間が短時間(通所介護であれば2時間未満、通所リハであれば1時間未満)の場合は、それぞれのサービスの最短時間の報酬区分(通所介護であれば2時間以上3時間未満、通所リハであれば1時間以上2時間未満の報酬区分)で算定する。」という回答をしています。

このように柔軟な人員基準、報酬算定が可能となっていますので、事業所においては、通知内容を十分に理解し、もし疑問があるなら行政機関に確認を取るという対応が必要とされています。
仮に緩和された人員基準にてサービスを提供する場合、利用者家族への説明と同意を必ず得るようにすることが重要です。当然、説明し同意を得るということは、その証明が必要になりますので、書面を作成し、保管することが望ましいといえるでしょう。(介護ビジョン 2020年7月号)

駒居義基(介護経営スペシャリスト/介護福祉経営コンサルタント)
こまい・よしき●C-MAS介護事業経営研究会スペシャリスト。株式会社ユナイテッド代表取締役。建築・不動産関連で営業経験を経て、その後心理カウンセラーとして独立。心理カウンセラー時代に介護の悩みを抱えている方の多さから、高齢者問題に対して何かできないかと考え、通所介護「えんがわ」を設立。コネなし、経験なし、資金なしの状況からわずか半年で採算ベースに乗せる。現在は居宅支援事業所や訪問介護の運営にも携わりながら、介護事業経営コンサルタントとして居宅サービスを中心に実地指導対策や業務改善等の支援に携わる
株式会社ユナイテッド
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