ケーススタディから考える診療報酬
第32回
介護支援等連携指導料と退院時共同指導料2
少子高齢化の日本の医療において、退院支援はどの医療従事者も関係する業務になっており、複雑さも年々高まっているように感じます。その結果、入退院支援を確実に行っていることを評価する加算は増え、確実に算定できるように院内の運用フローを整えていると思います。今回は、入退院支援関連の加算のなかでもお客様からの質問が多いと感じる「介護支援等連携指導料と退院時共同指導料2」という、似て非なる加算について整理していきましょう。
ケース:どういう場合にどの加算を算定すべき?
*今回とりあげたテーマについて、実際に現場で起こっている問題を提起します
(特定を避けるため実際のケースを加工しています)
太平洋に面する都道府県にある200床未満のケアミックス病院(急性期一般入院料と地域包括ケア病棟)でのお話。この病院は法人内に介護施設や在宅医療を担う事業所を持っており、地域密着型の医療機関として地域の医療機関や介護施設との連携にも力を入れています。
同院の入退院関連加算について、直近1年間の算定件数を見てみると、介護支援等連携指導料の加算はあっても退院時共同指導料2の算定が全くないことに気づきました。そのことを指摘すると、入退院支援室の室長であるMSWのAさんから質問がありました。
A「退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料は同時に算定できないと聞いているので、退院時共同指導料2は算定していません。今さらなのですが、退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料は何が違うのですか」
そこで、筆者から加算の概要について下表を用いて説明しました。
すると、Aさんの顔色がパッと明るくなりました。
A「よくわかりました。ケアプランを作成する人はすべて介護支援等連携指導料が良いと思っていましたが、そういうわけではないのですね。ケアプランがないまま退院の指導が入ることもありますし、最近では、保険薬局の薬剤師さんが連携するケースも多くなっていますので、連携相手が三者の場合が結構あります。今までのことは仕方ないとして、今後は、退院時共同指導料の算定を具体的に検討していきたいと思います」
翌月の訪問時、さらに明るくなった表情のAさんから、「退院時共同指導料2と多職種共同指導料の算定ができました」と元気よくご報告いただいたのでした。
表 介護支援等連携指導料と退院時共同指導料2の概要
介護支援等連携指導料 | 退院時共同指導料2 | |
点数 | 400点(入院2回まで) | 400点(入院中原則1回) |
算定要件 | ●初回:退院後の生活を見越した情報交換し、要点を診療録等に記載 ●2回目:退院後のケアプラン作成のための情報収集を求め、要点を診療録等に記載し、ケアプラン等の写しを診療録等に添付 |
退院後の在宅での療養上必要な説明および支援を関係各所へ行ったうえで文書により情報提供した場合 |
加算 | ─ | ●医師同士の指導:医師共同指導+300点 ●連携相手が3者上:多職種共同指導+2000点 *3者とは=在宅療養担当医療機関の保険医、看護師等、歯科医師、歯科衛生士、保険薬局の保険薬剤師、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師除く)、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、相談支援専門員 |
ビデオ通話 | OK | OK |
注意点 | ●退院時共同指導料は同時算定できない | ●同一日に入院している病院のリハセラピストによる退院時リハビリテーション指導用および、入院している病院の薬剤師による退院時薬剤情報提供管理指導料は別途算定できない ●介護支援等連携指導料は同時算定できない ●開放型病院共同指導料(Ⅱ)は別途算定できない |
注:詳細は診療報酬点数表をご確認ください