ケーススタディから考える診療報酬
第12回
機能評価係数II公開と
特別調査結果報告

全国のDPC対象病院について今年度の機能評価係数が公開されるとともに、特別調査の内容も示されました。DPC対象病院の成績表である機能評価係数IIを向上させられるよう、日々マネジメントに尽力されていると思います。今回は、ある病院の経営会議での特別調査共有が行われたケースを紹介します。

ケース:「コーディング」をどう管理している?

*今回とりあげたテーマについて実際に現場で起こっている問題を提起します
(特定を避けるため実際のケースを加工しています)

関東近郊にある300床ほどの、高度急性期から回復期までを有すDPC対象病院のお話です。
経営改善を目的として毎月訪問しているこの病院の今月のテーマは「機能評価係数と特別調査について」。同院は効率性係数の低さが課題であり、回復期病棟や地域の医療資源、介護資源の活用に苦慮していることが経営幹部の悩みの種でした。
残念ながら、2023年度も効率性係数は改善しなかったこの病院。入退院支援室とベッドコントローラーを担う看護部と経営幹部の間に冷ややかな空気が流れたところで、特別調査について筆者から共有がなされました。

筆者「コーディング委員会は開催されていると思いますが、開催実績を教えてください」

院長先生以下に「誰がどこでやっているんだ……」という空気が流れるなか、勇気をもって手を挙げてくれたのは、診療情報管理室の室長でした。

室長「コーディング委員会は診療情報管理委員会の後に行っており、隔月で行うようにしています」

コーディングの方法を問うと、

室長「最初に医事課と診療情報管理室が協力してコーディングを行い、最終的に主治医が確認するようにしています」

会議終了後、診療情報管理室長から「皆さんが退出した後で……」と筆者に声がかかりました。

室長「実は、あの場ではそう伝えましたが、当院ではコーディングはタイムリーで行われているわけではなく、入院時にコーティングの分岐がある処置があることは想定可能なのにもかかわらず、医師が協力してくれないので入院時以降のコーディングの確定は退院時になっています。医師の確認は実質、カタチだけ。そのためベッドコントローラーである看護部がどれだけ入院期間IIを意識した入退院支援を行ったとしても、最終的に期間IIの日数が異なっていることも多々あって、実質、効率性係数の改善に向けた努力ができません。もっと言うと、コーディングは収入はもちろん、他の係数にも関係するはずです。実態として、コーディングの責任が診療情報管理室に一任されていることは大問題だと思います。上村さんからどうにか伝えてもらえませんか」

次の経営会議でコーディングの方法とベッドコントロールについて他院の事例をお話する約束をした直後、院長先生から診療情報管理室長に電話が入りました。

院長「上村さんがコーティング委員会に医師が出たほうがいいと言っていたけど、私も出たほうがいいかな」

実は、組織上はコーディング委員会の参加者に含まれている院長先生の言葉に、室長は「何で今さら……」と落胆の表情がありつつも、病院のわずかな変化に少しの希望を見出したのでした。

こちらのケース、どのような感想を持ちましたか。DPC対象病院には「適切なコーディングに関する委員会を年に4回以上が義務(月1回以上推奨)」なのですが、実質形骸化(開催されているが改善に向けた話し合いが行われているわけではない)しているケースは少なくないようです。

言うまでもなく、コーディングは収入に直結するのはもちろん、機能評価係数IIにも関係するベッドコントロールを考えるうえでも重要です。ところが、コーディングを決めるはずの病名や副傷病、処置や手術の有無をタイムリーに反映し、院内で共有されていない病院はあるようです。左記に、特別調査で行われたコーディングに関する各病院の取り組みを示していますが、コーディングに関する対策について、院内で再確認されてはいかがでしょうか。
経営幹部の視点ではわからない課題が見つかることもあるようです。(『最新医療経営PHASE3』2023年7月号)

【コーディング委員会の内容について】

  • 医療資源名の選択に係る留意点
  • 部位不明・詳細不明コードについて
  • 未コード化傷病名について
  • 他院からの転院の有無に応じた評価の見直しについて
  • 様式1作成における電子カルテ記載について
  • アウトライヤー症例検討
  • ベンチマーク分析について
  • 診断在院日数からみる医療資源の投入比較について
  • 査定・返戻の検討
【コーティングを含むデータの質向上に向けた取り組みについて】

  • コーディングにおける主治医と診療情報管理部門の連携(例:主治医が詳細不明コードを選択している場合に、診療情報管理部門が代替リストを提示する等)。
  • コーディング委員会における情報共有(例:病名選択を注意したほうがよい事例、未コード化病名の割合等)
  • コーディング委員会に他部署の責任者を参加させることで、病院全体でDPCに対する理解を深めるよう努めている
  • コーディングテキスト等を用いたコーティングのチェック
  • 院内でのDPCコーディングマニュアルの作成
  • データの相互チェック等、二段階の点検を実施
  • データ提出で、院内独自の仕組みに則った点検を行い、提出支援ツールでは補えていない範囲の項目の確認を行っている
  • グループ内の別施設の人材による監査
  • 対出来高の点数で距離が大きいデータの抽出とコーディング内容の確認
  • 査定、返戻例の検証

報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」(2023年4月24日)より一部抜粋して編集部で作成

結論

DPCコーディングは
医師を含めた多職種で検討しよう!

上村久子
株式会社メディフローラ代表取締役

うえむら・ひさこ●東京医科歯科大学にて看護師・保健師免許を取得後、総合病院での勤務の傍ら、慶應義塾大学大学院にて人事組織論を研究。大学院在籍中に組織文化へ働きかける研修を開発。2010年には心理相談員の免許を取得。医療系コンサルティングを経て13年、フリーランスとなり独立

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