経営トップが知っておきたい病棟マネジメントと診療報酬
第3回
ビデオ通話による算定件数
入退院支援関連の機会を広げよう

良好な地域医療連携を構築し入退院支援の加算件数を増やすためには、経営トップは命令だけではなく、自らが主導することによって院内全体を巻き込んだ取り組みが不可欠です。今回は、前回ご紹介した機能評価係数IIの向上とも関連する「入退院支援」について、新制度の変化と経営の質を向上させるためのポイントを紹介します。

2020年度診療報酬改定で充実した入退院支援関連だが

「入退院支援関連の加算算定件数を伸ばしたいけど、全然、伸びないんです」というご相談をいただくことがあります。事実、新型コロナウイルス禍において、全国的に連携先の施設の方や地域のケアマネジャーさんが来院する機会が減少したことの影響は少なくありません。しかし、2020年度診療報酬改定により、来院ではなく「情報通信機器を用いたカンファレンス等(以下、ビデオ通話)」により算定できる加算が増えており、算定機会は病院内外の努力により増やすことが可能な制度設計になりました(表1)。20年度の診療報酬改定ではこのほかにも、入退院支援関連の改定が行われ評価がさらに充実しました(表2)。

ビデオ通話で新規開拓も指揮系統を明確化し改革推進

ビデオ通話による加算算定が実質的に解禁になったことを受けて、入退院支援関連の加算件数が伸びた病院と、依然として進まない病院の二極化が進んでいます。いずれの病院でも私はビデオ通話による経営支援を行っているため、環境が整っていないわけではありません。
ビデオ通話が進まない病院では「地域のケアマネさんたちは訪問したいと言うんです」「(提案したことはないが)近隣の連携先はどこもやっていないし、高齢者ばかりだからビデオ通話をしたいというところはないよ」という具合に、算定に消極的な意見を聞きます。
反対に、積極的にビデオ通話による加算を算定している病院では、連携先にビデオ通話に関するアンケートを実施するなど、経営トップの声がけのもと、ビデオ通話に関して地域における医療連携の先駆け病院となるべく行動しています。

特に、ビデオ通話は場合により機材の準備が必要なこと、そして院内の調整だけではなく院外との調整が必要となることなどから、入退院支援室だけの判断では行動しづらいところが多いと感じます。入退院支援は病院経営の要であることを再認識するとともに、経営トップからいろいろな職種が動きやすい環境を整える姿勢を示すことが求められます。
そうした取り組みを通じて、経営改善だけではなく患者満足向上にもつながる入退院支援関連の加算算定強化を行っていただきたいと思います。(『最新医療経営PHASE3』2020年9月号)

上村久子
株式会社メディフローラ代表取締役

うえむら・ひさこ●東京医科歯科大学にて看護師・保健師免許を取得後、医療現場における人事制度の在り方に疑問を抱き、総合病院での勤務の傍ら慶應義塾大学大学院において花田光世教授のもと、人事組織論を研究。大学院在籍中に組織文化へ働きかける研修を開発。その後、医療系コンサルティング会社にて急性期病院を対象に診療内容を中心とした経営改善に従事しつつ、社内初の組織活性化研修の立ち上げを行う。2010年には心理相談員の免許を取得。2013年フリーランスとなる。大学院時代にはじめて研修を行った時から10年近く経とうとする現在でも、培った組織文化は継続している。