診療相談の新たなかたち オンライン機能を使いたおせ

新医師同士WEB機能を用いた相談機能の充実ぶりがめざましい。制度的には2020年度診療報酬改定でコンサルテーション機能が評価されるようになったほか、新型コロナウイルス感染症禍のなか、オンライン・電話による初診も保険診療として認められるようになった。また技術的にも患者情報を画像・音声・生体に関する数値などを共有し、遠隔でも相談機能を充実させることで診療の質を高める仕組みが提案されている。ここではそうした遠隔相談の事情やソリューションの紹介等を通じて、「医師と医師、医師と患者の関係の新たなかたち」の現状を報告する。

『最新医療経営PHASE3』2020年9月号 特集

●序論

「DtoD」「DtoP」
現場の必要性に応じた発展が見られる

●事例

1 医師対医師の遠隔診療支援システムが
へき地医療を救う有用な一手に

名寄市立総合病院(北海道名寄市)

2 サポート体制を充実し
遠隔地に住む患者の利便性向上を図る

医療法人財団岩井医療財団
稲波脊椎・関節病院院(東京都品川区) 

●追記

異なる病院間でのオンライン情報共有で
課題となる「個人情報保護」との整合性

 


〈特集より特別掲載〉

序論 「DtoD」「DtoP」現場の必要性に応じた発展が見られる

救急医療現場での需要が高まっている

「DtoD」は、救急医療現場での活用が目立つ。その場にいない専門医の知見を診療に役立てるパターンだ。二次救急病院では夜間、当直医が一人しかおらず、かつ当直医の専門領域外の救急患者が搬送されてくることが少なくない。この時は基本的な応急処置にとどまるか、他の医療機関に転送するしか手立てがなかった。
そこへ、症例に応じて遠隔の専門医による的確なアドバイスを受けながら、適切な処置をできるようにする仕組みの導入が進みつつある。

特に脳卒中の救急患者への対応で効果が出ているといわれる。東京慈恵会医科大学附属病院では専門医による遠隔サポートを行っている。
夜間、ベテラン専門医がシフトから外れているときに脳卒中の患者が搬送された際、その場の医師が処置の指針を立てかねている際に専門医へ連絡、口頭だけでなくCT画像も同時に送付する。
専門医のほうはスマートフォンやタブレットパソコンなどでその画像を確認、指示を出したり、必要ならば自ら病院に出向いて処置をしたりという体制を敷いている。

専門医が不足する地方でもこの取り組みが見られる。地域の二次救急医療機関に重症患者が搬送された際、そこの医師は中核の高度急性期医療機関の専門医に患者の状態を伝え、転送するか、自院での対応を進めるかを相談することがある。
この時に地域連携システムを通じて画像データを共有、さらに綿密な相談を可能にしているのだ。実際、現場からは「画像コンサルトがしやすい」「特に脳外科疾患の対応のコンサルテーションに助かっている」などの声が多く挙がっているという。

医師だけでなく、看護師の負担軽減にもつながるとの指摘がある。当直医が1~2人の場合、看護師が医師の指示を仰ごうとしても医師は手が離せないことがしばしば起こる。その間、看護師は患者と医師のあいだで板挟みにあうわけだが、ここで遠隔の専門医から指示を仰ぐことができれば、当直医の指示がなくても対処できる範囲が広がるわけだ。
もちろん、これには事前に遠隔からのフォローに当直医が同意するという取り決めを定めておく必要があるが、そうした活用例も出ている。

「相談」だけでなく「モニタリング」機能への期待も膨らんでいる。アメリカではICUに入院している患者を遠隔からの支援システムを用いて常時モニタリングし、適宜対応する仕組みを敷く病院がある。そこではシステムを導入後、ICUでの死亡率が導入前に比べて11%低下し、平均在院日数も短縮するという結果が出たという。