新しい生活様式・医療に適応する! 『ポスト・コロナ』の 病院経営

新型コロナウイルス感染症の拡大は、日本の社会に大きな変化をもたらそうとしている。ヒト・モノの費用は従来以上の規模になることが考えられる。また患者の受療行動も大きく変わろうとしている。オンラインを前提とした診療のあり方、患者との関わり方を模索するだけでなく、それを前提とした事業経営の検討も求められる。さらには予防や自由診療といった保険診療に頼らない収入確保も視野に入れる必要がありそうだ。そうした『ポスト・コロナ』という新たな時代での病院経営のあり方について、病院経営者に語ってもらった。

社会医療法人財団董仙会の神野正博理事長は「病院はライフ産業」と提唱し、自法人でもそれを具現化する取り組みを進めている。医療法人社団康明会の遠藤正樹理事長は病院という「ハコモノ」から地域全体に視野を広げた医療・介護の実践を推進している。一方、社会医療法人石川記念会HITO病院の石川賀代理事長は医療提供のあり方だけでなく、それを実践する側、つまり医療者の働き方改革に着手している。

このように3者3様で取り組んでいるが、実は本特集を企画した際、神野理事長の話は「急性期」、遠藤理事長は「慢性期」、石川理事長は「回復期」という柱を立ててご紹介するつもりだった。しかし、本編を読んでいただければわかるとおり、そのような構成にはしていない。3人とも制度に固執せず、病院機能の枠にとらわれた経営からとうに脱却し、新型コロナ禍のなかで浮き彫りになった「本当の患者ニーズ」「本当に働きやすい環境」に目を向けた医療・介護・生活支援サービスを提供し、そのための仕組みづくりを実践していたからだ。
仮に病院機能にこだわった構成にしていれば、3人の取り組みを十分にご紹介することは叶わなかったに違いない。

「ポスト・コロナ」を明るく迎えられるか

もちろん、多くの病院にとって新型コロナはバラ色の未来を保障するわけではない。むしろ不要不急の医療を提供することで患者をつなぎ止めていた病院にとっては、そうした「不都合な真実」が明らかになってしまう可能性もある。

ただ、目をそらし続けて現状にしがみつこうとしても、社会、患者が受け入れるとは考えにくい。地域医療構想や医療計画などで「病院の本当の機能」を見極める動きが出ているが、それを待たず、自院の「真実」に向き合う機会と捉えることができるならば、「ポスト・コロナ」は病院にとっても、患者にとっても明るい未来への第一歩となるのではないか。(『最新医療経営PHASE3』2020年8月号)