MMS Woman Lab
Vol.83
期待される役割の変化に応じて
自身の働き方を見直そう

<今月のお悩み>病院の医事課に勤務しています。組織変更に伴う新年度の人事異動で、入院担当チームのリーダーを任されることになりました。不安もありましたが、自分なりに考えてやっていこうと前向きに捉えていました。ただ、実際に始まってみると、課長からこれまでとは異なる仕事を依頼されるようになり、結果として本来の業務にも手が回らず……。自分には無理だったのかと落ち込む毎日です。

期待される役割が変われば業務の内容も変わる

「組織は戦略に従い、戦略は人事に従う」。よく私が使うフレーズですが、事業計画が改まる年度初めに、組織体制を変更したり、新たな役職者が就任するのは、この考え方に沿っているものだと思います。新しい事業計画ができれば、それを達成するための組織に変わらなければならないということです。
4月に変更した組織体制も、1カ月を過ぎる頃には動きがなじんできたのではないでしょうか。組織変更とともに、医事課の入院担当チームのリーダーになったということですから、医事課全体の動きも、自分自身の働き方も大きく変わった1カ月でしたね。

一スタッフとして仕事をしていた時は、与えられた業務を滞りなく終わらせることで1日を過ごしていたと思います。しかし、リーダーになると自分の仕事だけではなくメンバーの業務管理や勤怠管理なども行うことになります。そして、最も大きな変化は、上長(課長)との関係でしょう。
それまでは業務内容の指示が中心だったと思いますが、期待される役割が変わるのです。そのため、「外来の受付スタッフの配置を効率的にする案を考えて」とか、「内視鏡検査の予約枠を増やす調整をしてきて」など、ただ指示されたことをそのとおりに行うのではなく、自分で考えなければならないことや、他部署と調整しながら行う仕事も増えてくるでしょう。結果として、外来診療が終わってからの時間帯で外来担当の看護師や医師との打ち合わせをするといったケースも多くなっていきます。リーダーになったからといってすぐに現場のルーティン業務から外れるわけではありませんから、受付に入ったり、会計処理をしたりしながら打ち合わせの準備をしなくてはなりません。さらに合間の時間に翌日のシフト調整やメンバーの相談事への対応、時には患者さんやご家族からの相談事の一時対応をすることにもなります。打ち合わせが終わって午後5時過ぎに自分の席に戻ると、朝からやろうと思っていた仕事がそのまま残っている、なんていう日もあるのではないでしょうか。

リーダーになって、ただただ仕事が増えて、責任も重くなり、残業が増えてつらくて仕方がない……というのが今の正直な気持ちかもしれませんが、まずは落ち着いて、自分の仕事の整理をしっかり行いましょう。
仕事の整理は、毎日実施すること、週単位で行うこと、月単位で行うことといった「頻度」で分別するほか、作業/調整/思考という「カテゴリー」で整理し、それぞれに必要な時間はどれくらいかを考えていきます。自分の仕事をきちんと整理していくと、メンバーに任せることができる作業も明確になりますね。それをメンバーに振り分けていくのもリーダーの役割と言えます。

時間は自分でつくるもの 自身の仕事のマネジメントを

時間は無限にあるわけではなく、自らつくるものです。リーダーとしての仕事の仕方に慣れるまでは、時間割表のように自分の1カ月のスケジュールを書き出してみるのも良いと思います。
その際、いくつか注意したいことがあります。たとえば、「考える」仕事はある程度まとまった時間が必要になりますが、30分考えてアイデアが出てこない時は少し時間を置いたり、翌日改めて考えるというような対策が求められます。
そのためには、余裕を持ったスケジュールを組む必要があります。打ち合わせの準備など、事前にできることは2日前に終わらせるつもりでスケジュールを組んでいくなどの工夫も有効です。時間に余裕を持って準備を行えば、気持ちにも余裕が出てきます。

上長からの指示で仕事をしていた時と自分がリーダーになった時の一番の違いは、自分自身の仕事のタイムマネジメントを行うようになることです。一スタッフからリーダーになる時が、働き方が最も大きく変わるタイミングと言えます。これからのキャリアを考えれば、課長になり、部長になっていくうえでのファーストステップが今だと捉えることができます。ですから、あせらずに落ち着いて、まずは自分自身の仕事のマネジメントができるようになりましょう。

〈石井先生の回答〉

本来であれば病院としてリーダー研修などを用意できればよいのですが、OJTになってしまっている組織が多いのが実情かと思います。まず、求められる役割が変わっていることを認識し、自分の仕事を整理しましょう。あせらず、自分の仕事のマネジメントができるようになっていってください。(『月刊医療経営士』2021年6月号)

石井富美(多摩大学医療・介護ソリューション研究所副所長)
いしい・ふみ●医療情報技師、医療メディエーター。民間企業でソフトウエア開発のSEとして勤務した後、社会福祉法人に入職。情報システム室などを経て経営企画室長に 就任後は新規事業の企画、人材育成などに携わった。現在は医療経営人材育成活動、企業向け医療ビジネスセミナーなどを行うとともに、関西学院大学院、多摩大学院にて「地域医療経営」の講座を担当している。著書に『2018年度同時改定からはじまる医療・介護制度改革へ向けた病院経営戦略』『経営企画部門のマネジメント』(ともに日本医療企画)ほか