シーメンスヘルスケア ITEM2024で「ACUSON Origin」など新製品を発表

2024年4月12-14日に開催されたITEM2024(ITEM in JRC 2024 国際医用画像総合展)にて、シーメンスヘルスケアはX線CT装置「SOMATOM Pro.Pulse」、MRI装置「MAGNETOM Cima.X」、マンモグラフィ「MAMMOMAT B.brilliant」、外科用モバイルCアーム「CIARTIC Move」、超音波画像診断装置「ACUSON Origin」等の新製品の発表を行った。 「ヘルスケア・マネジメント.com」では記者発表用に行われたブースツアーで紹介された新商品の情報を抜粋してお届けする。

X線CT装置「SOMATOM Pro.Pulse」(ソマトム プロパルス)

X線管と検出器を2対搭載したデュアルソースCTはシーメンスヘルスケアの製品が搭載している技術であるが、ディテクター(検出器)の幅が狭いため数回に分けて心臓を撮影する必要があり、撮影画像の継ぎ目にズレが生じてしまうという弱点があった。それをPro.Pulseでは自動で3Dベクトル変換し繋げて表示することが可能になり、信頼性の高い画像を提供できるという。
また従来製品に比べコンパクトに設計され、天井から吊り下げていた3Dカメラがガントリにマウントされており、そこから赤外線とRGBの2眼で確認、患者の位置や形など確認し、最適な位置から自動で撮影できるようになっている。
他にも全自動撮影システム「myExam Companion」を搭載し、撮影前のプロトコル決定(患者の状況について質問に答えることで最適な検査内容を案内)や、撮影後の画像処理(頭の曲がりを直す、鬱血部を自動で計測して出す、心臓のコロナリーだけをチェックする等)にAI技術を用いていおり、設定によっては「プロトコル設定後は画像提出まですべて自動で検査する」ことも可能になるそうだ。

MRI装置「MAGNETOM Cima.X」(マグネトム シーマエックス)

Cima.XではMRIのエンジンともいえる傾斜磁場コイルの最大傾斜磁場強度が200mT/mとなり、従来装置の2.5倍の強度となっている。これは米国マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)と共同で10年以上かけて開発したもので、これを用いた拡散強調画像により、脳腫瘍や脳梗塞、また他の部位の腫瘍等に対し、従来よりも微細な構造を高コントラスト描出することが可能になるという。
画像再構成プロセスにはDeep Learning(AI)を用いたMR画像再構成技術「Deep Resolve」を使用しており、高速化しながら撮像できる「Deep Resolve Boost」、超解像技術を用いて時間延長なく分解能をあげることができる「Deep Resolve Sharp」を搭載。今回は3Dへの対応も行い、撮像時間は従来の半分以下で同レベルの画像が得られるようになっているそうだ。

マンモグラフィ装置「MAMMOMAT B.brilliant」(モンモマート ビーブリリアント)

従来、マンモグラフィによる検査は2D画像がメインで行われていたが、令和6年度の診療報酬改定でトモシンセシス(3D)検査にも診療報酬がつくことになり、注目を集めている。トモシンセシスではCTのようにスライスで画像を撮影でき、乳腺に邪魔されず病変の箇所がわかるようになるという。
また、トモシンセシスは撮影確度が広角にわたるほど深度分解能(深さ方向の分解能)に優れるとされ、この
B.brilliantは最大振り角50度と業界最大角度となっている。ただし、振り角が大きい=撮影に時間がかかるというデメリットがあるが、この機種では従来の1/5(25秒→5秒)まで撮影時間を短縮、被験者への負担を軽くしている。これは従来CT装置に使われていた機能「Flying Focal Spotテクノロジー」を採用することで実現したという。
なお、時間短縮されても従来搭載されていた「被験者の痛み軽減機能」を継承しており、被験者への配慮がなされている。

外科用モバイルCアーム「CIARTIC Move」(シアティック ムーブ)

CIARTIC Moveはリモコンでの操作と、自走・Cアーム位置の再現機能により、自動操縦が可能となった最新の外科用X線撮影装置である。
外科手術中に患者身体内部や手術器具の位置をリアルタイムで観察するためには放射線技師が手術に付き添い、必要に応じて装置を移動・撮影する必要があった。しかし最新型ではリモコンに3カ所まで場所を登録でき、手術前にあらかじめ撮影位置を登録しておけば、リモコンの番号を押すだけでそこまで自走、アームの角度も自動でセッティングされる。
そのため手術に技師が立ち会う必要はなく、例えば看護師がリモコンを操作し、所定の位置で医師がX線の照射ボタンを押せば目当ての画像が撮影できる。さらに操作時間の短縮により、放射線被ばくの低減にもつながるとのこと。
装置の各所には各種センサーが搭載されており、移動中に障害物を検知すると、モーターの停止や緊急ブレーキの作動により衝突を回避するという。また、パワーアシスト機能が搭載されているため、人力で動かす場にも片手で簡単に移動することが可能になっている。

超音波画像診断装置「ACUSON Origin」(アキュソン オリジン)

ACUSON Originは20億枚もの心臓の検査画像を学習した画像診断支援AIを搭載し、心不全、構造的心疾患、冠動脈疾患(CAD)、不整脈などに関する5,600項目以上の計測を自動化できる診断装置で、今回のITEM2024にてお披露目された。
筐体のデザイン、内部の構造ともに新開発のものを使用し、今後5年10年先のアップデートまで耐えられるものになっているという。内臓AIはスタンドアロンで使用可能となっており、画像の蓄積によりAIの学習が進めばアップデートを行う予定とのこと。
なお、同じタイミングで「ACUSON Sequoia」ver.3.0も発表された。
先行機種となるSequoia(胸部・腹部領域)と、新機種のOrigin(循環器領域)は用途が違うものの、あえてほぼ同じような操作盤を使用しているという。診療科が違っても迷わず操作できるように、ユーザの利便性を考えた結果だそうだ。

この「ACUSON Origin」、「ACUSON Sequoia」ver.3.0の発表にはSenior VP, Global Head of Radiology and Shared Service, Ultrasound Business(超音波事業 ラジオロジー・アンド・シェアードサービス シニアバイスプレジデント)のDaniel Frisch氏とHead of Ultrasound, Asia Pacific(超音波事業 アジアパシフィックリージョンヘッド)のSanjeev Kumar Bhatia氏が立ち合い、Daniel氏自ら説明が行われた。

製品の説明を行ったDaniel Frisch氏(左)とSanjeev Kumar Bhatia氏

説明のなかでDaniel氏は「シーメンスにとって日本は世界で3番目に大きな市場であり、これからは積極的に投資を行い、日本顧客のニーズに応えていく製品を提供する」と語った。
アメリカと共同で「サクラプラン」という企画を立ち上げ、一年前から日本のキーオピニオンリーダー(KOL)となる医師らから意見をもらって機能を盛り込んでおり、5月の日本超音波医学会でも両機種を展示、要望を聞いて今後の開発に活かすという。また、今後も定期的にKOLから意見をもらう機会を設け、機能のアップグレードを測る予定だそうだ。

シーメンスヘルスケア株式会社、シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社、株式会社バリアンメディカルシステムズは、グローバルなメドテックカンパニー、Siemens Healthineers の⽇本における事業会社です。Siemens Healthineers は、ドイツ・エアランゲンを本拠とし、世界70 カ国以上に拠点を置き、180 カ国以上で事業を展開しています。「We pioneer breakthroughs in healthcare. For everyone. Everywhere. Sustainably. ヘルスケアを、その先へ。すべての⼈々へ。」というPurpose のもと、CT、MRI、マンモグラフィなどをはじめとする画像診断装置や、免疫や⽣化学検査のための体外診断薬・検査装置、画像ガイド下治療や先進的ながん医療のための医療機器を提供しています。また、医療従事者の⽅々が⾼品質で効率的なケアを提供できるよう、デジタルヘルスケアサービスや病院経営に関するソリューションも積極的に拡充しています。2023 年9 ⽉末までの2023 年度における全世界の売上は約217 億ユーロ。全世界で約7 万⼈の社員が活躍しています。
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グローバルサイト︓www.siemens-healthineers.com
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