【緊急セミナー】さらなる物価高騰で食材費はどうなる? 知っておくべき給食部門の経営管理

物価や光熱費が高騰するなかで、医療機関で給食部門の経営が厳しいという声が少なくない。そこで(一社)日本医療経営実践協会が3月27日(月)に緊急セミナー「給食部門の経営管理」を行うことになった。同協会の情報紙に掲載された、講師の宮澤靖氏(日本栄養経営実践協会代表理事/東京医科大学病院栄養管理科科長)のインタビューを掲載する。

「栄養はコスト部門」の認識を改めよう

宮澤靖先生

管理栄養士が関連する診療報酬は、患者とコンタクトしないと課金されない仕組みになっています。給食の献立を管理栄養士が作っても、クオリティは別ですが、加算がつくわけではありません。
その状況で給食の運営・管理に何人も管理栄養士を配置しているのであれば赤字になるのも当然で、その認識が経営側も管理栄養士側も不足しているのではないでしょうか。

「管理栄養士は厨房でがんばっておいしいものを出せばいい」と経営側が考えていると、管理栄養士を厨房にしばりつけることになり、管理栄養士の活動で加算を取ることができず、コストだけが出ていくことになります。そういった意識を変えていくことが重要です。

病院の栄養部門の役割としては臨床と給食があり、そのバランスをどう考えるかはそれぞれの施設の価値観によると思います。しかし、臨床現場で栄養の専門家である管理栄養士の代わりができる担い手はいません。
2022年度改定で特定機能病院を対象に新設された「入院栄養管理体制加算」は入院初日と退院時に270点が算定できますが、病棟に専従の常勤管理栄養士の配置が要件となっています。管理栄養士を病棟に置いて加算を取りにいくためには、限られた人数をどう配置するのかという経営判断になってきます。

いくら栄養部門が「やりたい」と言っても、組織を変えていくのは難しいでしょう。病院の経営理念や方針として「管理栄養士も病棟に出ろ!」という方向性を示していただいたうえで、その方針に則って栄養部門も動いていく、という形で進めていかないと、栄養部門単独ではなかなか現状の問題点は解決しないのではないかと考えています。

給食の役割を見直しコストの捉え方を再考する

病院のなかにはいろいろなサービス部門があって、快適な療養環境のためのサービスがそれぞれありますが、そのなかでも食事は大きなウエイトを占めています。
食事のクオリティを上げることで患者サービスの質の向上につながり、患者満足度が上がるのであれば、そこにコストをかけるという考え方は当然あってよいと思います。

患者さんに話を聞くと「入院のときに唯一の楽しみは食事」と言う声はやはり多いです。同じ金額を支払うのであれば、良い食事が食べられるほうがよいのは当然です。
これまでは「良い医師がいる」「家から近い」といったことで病院を選んでいたかもしれませんが、これからは「良い食事が食べられる」「あそこの病院のご飯は美味しい」という理由で病院を選ぶということも出てくるでしょう。

病院給食のクオリティの高さが患者満足度の向上につながり、ブランディングにも有効ということであれば、そこをきちんと評価する必要があるはずです。
食事にかかるコストを1食640円という枠の中だけで捉えるべきなのか、医療経営士の皆さまには改めて考えていただきたいと思っています。
一般社団法人日本医療経営実践協会発行『MMSニュース』2023年2月号より)

※セミナーの詳細およびお申し込みはこちらから!


■開催概要

セミナー名:さらなる物価高騰で食材費はどうなる? 知っておくべき給食部門の経営管理
日時:2023年3月27日(月)15:00~16:00
講師:宮澤靖氏(東京医科大学病院栄養管理科科長、日本栄養経営実践協会代表理事)
対象:医療機関経営者・事務部門責任者、事務部門スタッフ・栄養部門スタッフ
参加料:医療経営士/介護福祉経営士/栄養経営士 2,000円 一般 3,000円
定員:100名
主催:一般社団法人日本医療経営実践協会


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