院長婦人はコンサルタント
第109回
安心して生み育てる社会は大切
だけど事業者負担が大きすぎるよ
明けましておめでとうございます!
年末からパート看護師の研修が始まり、受付事務の自動精算機や予約システムも稼働を開始。少しずつ前に進んでいると思っていたら、新人バート看護師の実母が体調を崩し、介護のため、いきなり「お休みをください」と。パート看護師のほうは急ぐ補充ではないとはいえ、何となく出だしからミソが付いたようでちょっと凹む……。
一方、来月から産休・育休のため人員が減る医療事務に関しては、午後バートの求人をかけたが応募がこない。時給を上げハローワークの求人票をアップデートしようかとも思うが「スタッフの時給も上げなきゃ」というジレンマを抱える。
それを見越してのオンライン化&省人化だが、こちらも不安を抱えての幕開け。受付事務のオペレーションは、慣れないという点を勘案しても何となく動きが悪い。人員が多いのに、次回予約を取ってから自動精算機に誘導する流れがスムーズでない。
明らかに産休に入るスタッフの動きが遅い。経験上、産休に入る前は気が抜けている、あるいは集中力を欠いているなど作業効率が落ちることが多い。おまけに、「私はこれからしばらくお休みするので、あまりいろいろかかわりたくないのよ~」というオーラを出していて、自動精算機のつり銭追加投入をさせた際も、レクチャーを受けたはずなのに説明書を見ながらぎこちなくやっている有り様(産休明けで昨年復職したスタッフはサクサクつり銭を追加投入していた)。
その様子を見ていると、女性が働きながら安心して産んで育てる社会をつくるのは口で言うほどたやすくなく、事業者負担がかなり大きいと毎度毎度、実感する。
別な見方をすれば、既存受付スタッフたちは来月から一人分戦力が足りなくなると頭ではわかっているが、「実際、産休に入った段階でスイッチが入ってスムーズに行動加速するのだ」とサマンサは善意に解釈したい(そうあってほしい)。
話は変わるが、お正月にサマンサは院長と娘をともない、日ごろの疲れを癒すべく温泉旅行へ行ってきた。結構グレードが高いお宿を選んだつもりだったが、ここである事態に遭遇し呆気にとられ、その後、わが身を振り返った。
それは、温泉浴室での出来事。サマンサ以外ほかに利用者がいないタイミングで、いきなり脱衣所に若い女性スタッフが入ってきて、鏡前に備えつけてあったアメニティの1つである様を一個手に取り、そのまままたスタスタ出て行ったのだ。ほんの数秒とはいえ、「失礼します」の一言もなく、いきなり入ってきて、「お借りします」の一言もなく櫛を一個手にして?
宿泊業も人材不足と言われるが、ここまでスタッフ教育がなされていないことに、びっくりした。
東京オリンピック・パラリンピックの誘致でアナウンサーが「お・も・て・な・し」と発していた日本の良き“おもてなしマインド”はいったいどこに消えたのだろうか?
年明け、当院のスタッフのオペレーションの悪さを見たとき、この温泉旅館で目にした光景がサマンサの脳裏に突如、フラッシュパックした。「こいつぁ〜春から縁起がイイなぁ~」の真逆で、春から頭を抱えるサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2025年2月号)