院長婦人はコンサルタント
第101回
地獄のゴールデンウィーク
トラブルは繁忙時に訪れる

前号で連載100回を達成し、200回に向けて歩き出したサマンサ。前回は、8年前の連載開始時を振り返り感慨にふけっていたが、経営の悩みは経験値が増えるとともに軽くなるどころか、むしろどんどん深くなることも改めて実感した。
特に深刻になっているのが人材確保と教育、そしてDX化への対応だ。とにかく、労働人口の減少にともないスタッフ確保は年々難しくなってきている。
女性が多い環境のため、出産・育児に加え、介護の影響をもろに受け、急なお休みや休暇へ対応するのに一苦労。直近では、この7月まで事務スタッフが育休のため人材確保に苦慮しているなか、どうにか迎えたGW。4月末にチェック用レセプトの印刷中に問題が起きた。レセプトデータをチェックソフトにかけ、あとはプリントアウトするだけなので新人に任せたら、紙づまりを発端にプリンターが故障する事態に(汗)。
多分、つまった紙を力技で取り出そうとしたんだろう(涙)。確かにそのプリンターは旧式で、次に壊れたら部品交換が難しいと思っていたが、なぜ、このGWの直前に?おまけに、なぜチェック用レセプト印刷時に?

ご想像のとおり、サマンサの頭の中は真っ白で、クエスチョンマーク???が飛び交っていた。幸いメーカーと連絡が取れ、もう1台のブリンターも使えたのでどうにかチェック用レセプトは印刷できた。怒る気持ちを抑えながら、問題の新人に「ほらちゃんとここに書いてあるとおり○○するんだよ」と改めて紙づまりの解除の仕方を手取り足取り教えるサマンサ。とはいえ、自分の職分の責任ってものを教えなきゃダメだと、次の日、午前中に来たメーカーの修理に新人を立ち会わせ、とりあえず4月分のチェック用レセプトを印刷させた。

疲れ切って突入したGW後半、祝日を含め4連休は当院が休日診療当番にあたり、連休中も時間限定とはいえ診療していた。サマンサと院長の2人体制のため、軽傷とはいえ新患さんが来るとてんてこまい!保険証を預かってカルテをつくって診察に回し、介助して入力してその後会計。途中で患者さんが来ればそこにも対応……。

それらが終わるとサマンサはげっそり。空いた時間で自宅の断捨離をし、結局、レセプトチェックの半分しか終わらなかった。
仕方ないさ!と思い「5月7日は頑張るぞー?」って思っていたら、朝8時半、新人から電話が入り。「熱が出たのでお休みします」と?
頭がまた真っ白になったが、すぐにパートスタッフをやりくりし、レセプトミッションに充てる時間を捻出。連休明けで混みあう外来と、レセプトミッション?結局夜までかかってどうにか仕上げましたとさ。以下、サマンサの高校の大先輩である山本五十六元帥の【男の修行】からの引用。

苦しいこともあるだろう。
云い度いこともあるだろう。
不満なこともあるだろう。
腹の立つこともあるだろう。
泣き度いこともあるだろう。

これらをじっとこらえてゆくのが【事務長の修行】だ。サマンサの修行は次号へ続く。(『CLINICばんぶう』2024年6月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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