院長婦人はコンサルタント
第106回
採用はあきらめ、省人化に着手
第一弾は電話予約対策だ
10月に入り、だいぶ過ごしやすくなってきた。新潟は夏の暑さが長引き、過ごしやすい秋は短く、あっという間に寒い冬を迎える。今夏は大変なことばかりだった。だからこそ、この秋を楽しみたい。
7月に育休から事務スタッフが復帰したと思ったら、今度は別の事務スタッフがおめでたに。毎回無事の出産とスタッフの復帰を願ってやまないが、10年ほど前に続いた視能訓練士のおめでた連鎖時とは、かなり様相は異なる。
当時は、臨床検査技師の活用と、たまたまご縁があった男性視能訓練士の活用でどうにか乗り切った。その際は、「視能訓練士」だから確保に苦慮すると思っていたが、今では全業種で人手不足が深刻化し、医療事務の補充にも苦慮している。
だいたい、有期採用のスタッフは集まらないし……。下手に正職目で募集しても、育休から復帰後は人材がダブついてしまう……。いよいよ、機械化とオンライン化で“省人化”を目指すしかあるまい。
機械化&オンライン化が可能な取り組みとして、まずは、自動清算機と予約システムのオンライン化から着手。これまでも予約システムを導入していたがオンライン化はされておらず、あくまでもオフラインのレセコンの一業務として、時間枠の設定と、そこへ患者さんをあてはめるという感じだった。
そのため、会計時に次回の予約案内はもちろん、電話予約の場合は人力で入力。大半の患者さんは会計時に次回の予約をされるが、なかなか予定が立たない方や学校検診などお久しぶりの方、突発的な症状の方、コンタクトレンズ検査の方は電話で予約を受けている。
実は、8月のスタッフコロナ感染にともなう欠勤と体調万全のスタッフのみのシフトで、受付業務を2人で回す日があった。そこで痛感したのが、来院受付&会計入力担当で1人、会計&予約案内担当で1人の計2人体制でどうにか受付事務は回せるが、電話対応が難しいということ。
受付対応中は電話をとれないし、会計&予約案内担当も、患者さんへの対応中は身動きがとれない。仕方なく留守電機能にして「ただいまお電話が混み合っております。後ほどおかけ直しください」のアナウンスに切り替えた。これでかなり業務が回ることがわかった。
電話対応は確実に人手を取られるし、ましてや高齢患者さんだと、耳が遠かったり要領を得なかったりと、スタッフが対応に苦慮する場面も多い。予約をすべてオンライン受付にすると、高齢患者さんは対応できない。省人化第一弾として自動精算機導入と予約オンライン化と合わせて、この電話対応をどうするか。
そんなとき、AIを使った電話対応を導入している病院があると知ったが、ランニングコストが高すぎてクリニックでの導入は難しい。いずれ廉価版ができればぜひ試してみたいと思っているが……。とりあえず、実現可能な取り組みとして、電話対応可能時間帯を設けようと思っている。不規則にかかってくる電話に対応するのではなく、こちらが用意した時間帯で対応する。始終電話対応に追われる体制を変えようと強く思った。
サマンサの省人化取り組みはまだ始まったばかり……。試行錯誤は続く。(『CLINICばんぶう』2024年11月号)