院長婦人はコンサルタント
第105回
Z 世代とどう向き合うか
今後の採用にはこれが欠かせない

まだまだ暑い、9月。スタッフのコロナ感染連鎖で超慌ただしかった8月もどうにか終わった。それにともなう休診とお盆休暇で、診療日数は絞らざるを得なかった8月。コロナ無傷のサマンサ&感染していないスタッフをかき集め、予約変更電話をしたり、超少ないメンバーで診療をまわしたり……。
ともかく大変だったという記憶も生々しく、毎月末恒例の8月分レセを出したら、案の定の減収にショックのサマンサ。恒例のレセブト枚数&点数合計は、ある意味、クリニックの通知表のようなもので、加えて、経営の大事な収入原資。
そりゃ、合計点数の落ち込みは十分予想できたが、数字として改めて突きつけられるとかなりツライもの。収入減に頭を抱えるサマンサに、また試練が襲いかかる。

7月に復帰した医事スタッフの産休代替要員を諸事情により(詳しくはバックナンバーをご覧ください)正職員として採用したが、そのスタッフがなんとおめでた?当院はどうやらコウノトリの中継地らしく、いっそ産科標榜したほうがイイのではないかと思うほどだ。“子授け眼科クリニック”に名称変更しようか(笑)。
つまり、またしても産休代替要貝を探さないといけない。医療事務は土曜日は休めないし、拘束時間も長い。スキルが必要な割には評価が低いお仕事で、昨今は人気がない。

先日もサマンサがカリキュラム編成委員を務めている某医療事務専門学校も、定員40人のところ、今年度は7人の在籍らしい。若年人口が少ないとはいえ、これでは専門学校としての体裁が整わないと思うが、それ以上に、医療事務という職種に対して魅力がなくなっている点が気になる。
学生時代を週休2日で送ってきた若者(2世代)にとって、土曜日が休めないのはかなりマイナス項目。専門学校講師も愚痴っていたが、叱られ慣れていないせいか、学生に注意をしたところぶるぶる震えだしたとか(特にキツく注意したわけではないらしい)。
サマンサも最近までZ世代スタッフの扱いに頭を抱えていただけに、共感と同情を禁じ得ない。
とはいえ、Z世代はダメだと責めてばかりもいられないし、何かしら対策を打たなければならない。

日本経済が絶好調で、世間も浮かれていたバブル時代ではないが、そこそこ豊かで何不自由ない時代に育った彼らは、不透明な時代の影響か、自己肯定感が低い印象。自分の将来に夢を持ちハングリー精神を携えて「何度踏まれても雑草のごとく立ち上がるメンタル」ではないのは事実。
どちらかといえばガラスのマインドで、精神年齢お子ちゃまの彼らには「些細なことでもいいので成功体験を積ませることポイントかなぁ」とはサマンサの私見。
相手を褒めて伸ばすのは曲者で、実は褒めなきゃならない指導する立場の人間が“褒められて育つ教育手法”を受けてきたか否かが気にな気になるところ。あらゆるリスクを考えた結果、今回は産休代替要員を探さず、自動精算機購入と予約管理システムの再構築で乗り切ろうと舵を切った。
改めて、“採用はギャンブル”って、友人である経営者の言葉をかみしめるサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2024年10月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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