院長婦人はコンサルタント
第89回
産休・育休対応で
さらに見えた院内の課題

ゴールデンウイーク(GW)が終わり、気の抜けた週明け。今春は例年より温暖だったのに、GW後半は雨模様で肌寒く感じた。
新型コロナウイルス感染症も5類に移行しどんな推移をたどるのか、まったく見当がつかない。眼科では直接、発熱患者さんの治療はないとはいえ、間接的な影響は受けるだろう。

さて、先月からの事務スタッフの産休・育休対応。今年10月中旬から産前休に入り、育休を含め、来年6月ごろの復帰予定だ。一般的な中小零細企業と同様に、1人が抜けても、業務にかなり影響がある。
既存スタッフで回すための準備はもとより、産休中の補てん要員としてハローワークに求人をかけたり派遣会社にお願いしたり……しかし、知人が働いている派遣会社にお願いしたら、「エリア外なのでお応えできかねる」なんて言われたり……。
ならば「業務の効率化・省人化を視野に入れねば」と思い、医療関連メーカーに自動精算機の相談をした。その際に、代替要員の募集も気にかけてくれるとのことだったので、少しばかり光明が見えた(気がする)。

確かに、IT化の加速は著しい。コロナ禍を機に、自動精算機もコンビニやスーパーですっかりおなじみになった。以前、当院でキャッシュレス決済やスマホ決済を導入した時分とは異なり、自動精算機は、高齢者が使えないサービスではなくなっている。
医療関連メーカーの担当者に聞いたら、今では新規開業時に自動精算機導入は“普通のこと”らしい。ならば当院も!と考えたが、この精算機は思ったより大きく設置場所の問題が浮上した。
なかには、医療費計算が終わったら会計精算せず帰ってしまう患者さんもいるため、スタッフの目が届くエリアに設置したい。現実的に設置場所が限定され、場合によっては壁をぶち抜いて確保する必要性も出てきた。さてどうするサマンサ!?結局、仕事を省人化して現在の事務パートの業務範囲を広げたり、臨床検査のスタッフにも事務業務をお手伝いしてもらうしかないわね。

本来ならば、こんなとき最も力を発揮してほしい事務リーダーは、まったく的外れな対応しかできないし……。以前も少し触れたが、彼女は物事を広い視野で考えるのが苦手なタイプ。目の前の業務には真面目にコツコツと取り組むが、変化を好まない傾向が強い。
今回は、事務スタッフの産休に向けて、まずは事務の仕事を改めてまとめてくれた。ただ、業務の洗い出しだからそれは仕方ないとはいえ、10年以上もこの仕事に従事していた経験を活かした改善の提案は、ゼロ。
加えて、事務パートさんに従来業務だけでなく会計やレセプト業務もお願いすることになり、手始めにまず会計業務の指導を任せたが、一気に教えてしまい、パートさんはアップアップに……。
教えてもらう側の立場に立てず、自分の不安感の払しょくや義務感を優先してしまい、サマンサを脱力感が襲ったのは想像に難くない。産休育休をきっかけに、また新たな問題発覚のサマンサ。悩みは当然、次号へ続く。(『CLINICばんぶう』2023年6月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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