院長婦人はコンサルタント
第87回
ウイズコロナによる変化に
院内の動線はどう対応する?

3月に入り、雪国新潟もやっと春めいてきた。新型コロナウイルス感染症対策もついにウイズコロナの局面を迎え、3月13日からマスク着用の緩和が適用された。
とはいえ、医療機関や介護施設はまだマスク着用が推奨されるだろう。今でも、受付で不織布マスク着用の確認と、布マスク、ないしはマスク不携帯の方には不織布マスクをお渡ししている。これ以降、「もうマスクは不必要じゃないか」なんてチョイ文句を言う来院者も増えるのだろうなぁ……という予想で、ブルーになる。
特に、小児患者さんがマスクをせず、なおかつ診察時に大泣きするパターンが一番困るし、院長も結構そこを気にしている。確かに、一時期より落ち着いたとはいえ、スタッフの子どもたちが入れ代わり立ち代わり陽性や濃厚接触の連絡が入り、急な早退やお休みになって診療が回らなくなることも少なくなかった。

おまけに、たびたび本稿でも触れているオンライン資格確認の原則導入義務化。当院ではどうにか運用しているが、いかんせん、利用者は1日に2~3人で肩すかしを食らった気分だ。また、実はシステムの運用をお願いしていたべンダーとのやり取りで、ちょっとしたトラブルも。カードリーダー無償提供はさておき、オンライン環境の再構築や端末設置等でまとまった金額のお見積もりがきた。今までレセコンでお世話になっていたベンダーに頼んだが、その担当者が検収書をなぜかサマンサではなくスタッフに(封筒にも入っていない状態で)渡していたことが判明。そこには金額も記載されていて……。それなりの金額なのだから直接サマンサに伝えてほしい旨と、金額の記載された納品書等を含め、今後はスタッフに渡さないでほしいとも伝えながら、頭のなかで個人情報保護法がちらっとかすめた。
ベンダーの担当者には、諸連絡用のメールアドレスだけでなく、あらかじめサマンサの個人アドレスも伝え、今後は、金額記載のある書類は個人用へお願いしたはずだが、なんと、またしても別件の金額記載書類を諸連絡用アドレスに送っていた(結局同じことが3回起きてしまった……)。ベンダー内でも担当が異なれば送付する人も異なるし、金額によって対応を変えるのは大変だろうと思い、金額記載の“すべて”の書類と伝えてあったのに!!さすがに、サマンサも堪忍袋の緒が切れた。

もともと、医療機関は個人情報の塊を扱っているし、2021年4月には個人情報保護法が改正され、より一層取り扱いには注意が必要となっている。ベンダーでも個人情報の取り扱いについて社内勉強会を定期的に開催していると報告を受けたが、この始末。結局いろいろ法律が変わっても、運用面で実働できていないと実感。
当院とて、マイナンバーカードを提示された患者さんの受付動線を確認しないと。従来の保険証提示の場合、複数の患者さんが並んでもスタッフ数人で確認できたが、カードリーダー1台では、1人ずつしかさばけない。受付が混み合った場合はどう対応するか?

ウイズコロナで、今年はどんな春になるのやら……。花粉症でなくても頭の重いサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2023年4月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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