院長婦人はコンサルタント
第86回
年明けの出来事を機に
経営マインドに再び火を!

前回も触れたとおり、昨年末の大雪被害に加え年明け後も周期的に襲う大寒波。雪に慣れた新潟県民とはいえ、足元が悪くなれば受診控えも起き、昨年12月と今年1月の医業収入減には本当にがっかり……。誰のせいにもできないとはいえ、やっぱり面白くはない。

2月に入ると、気温が低い日もあるがさほど降雪量も多くなく、患者さんも若干戻ってきた気配。花粉症のシーズンもあってか、アレルギー点眼薬の処方もちらほら。花粉症患者さんの来院数も気になるが、昨今のコンタクトレンズの値上げラッシュも頭が痛い(メーカーによっては昨年に大幅値上げしたところもあるが……)。
それでなくても、コロナ禍の在宅ワークの普及で(皆さんメガネで過ごしたようで)コンタクトレンズ装用の機会が減った。おまけに、眼科で検査なんて面倒なこともなくネットで購入する人が大幅に増えた。さすがに、進学&新生活でのファーストコンタクトの場合、最初は眼科で検査→装用練習→購入――の流れを踏むが、2回目以降は音沙汰なしの、ネット購入も加速するだろう。

以前も書いたが、一昨年の入院騒動がきっかけで院長の体調も開業当時の状態とはいかず、日帰り手術件数もスローダウン。折に触れ院長と「いつまで手術を続けるか」なんてちょっと寂しいが避けて通れない話をする。
数年前、近隣の診療所院長が80歳で勇退され、「まさしく開業医の本望!」と感嘆したものだった。当院の院長もその年齢まであと20年ほどであり、当然、まだまだ一仕事も二仕事も可能だ。

そんな悩みを胸に秘める一方、変なタイミングで眼底検査用の機会が故障。新しい機械を購入することになった。検査点数は400点。院長は「患者自己負担がいくら増えるか」「何人の診察で機械費用がペイできるか」とか考えていたようで。400点の3割負担で1200円、1割負担で400円の患者負担増ってことなので、ここはしっかり患者さんに納得してもらわねば!!と思い、案内ボスター(当然、手づくり!)の文章を視能訓練士につくらせた。
院長もチェックしたというそのたたき台を見た、まさにそのとき、サマンサのマーケティング魂に火がついた!何でこんな難しい言葉を使うのか、患者さんのメリットを訴えるワードは、写真はどんなものを使う、エトセトラ・エトセトラ……。究極的には、患者さん自ら「この検査をしてほしい」と言ってくれるようなキラーワードを使わないと!

年明けのこんな出来事がきっかけでちょっと下がっていたサマンサの経営マインドもスイッチ再び。今年はもう一度、診療所のYouTube動画も再構築しようと心を新たにした。診療圏内患者さんの年齢構成はもとより、ボリュームゾーンの高齢者をはじめ、住民全体の人口も減り始めている。外部環境の変化とコロナ禍、ネットの台頭………に院長の経年。“つまり、いつまでも同じではいられない”のだ。

その時々に合わせた診療スタイルの構築が、スーパー事務長サマンサの腕の見せどころと思いますが、いかがでしょうか。おあとがよろしいようで。

次号へ続く。(『CLINICばんぶう』2023年3月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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