院長婦人はコンサルタント
第85回
2022年の終わりに舞い込んだ
大雪トラブルの危機!?

2022年末に急な大雪に見舞われた新潟県。サマンサの地元でも、てんやわんやであった。日曜夜から降り始めた雪は、月曜早朝目覚めれば一面を銀世界に(こう書くとロマンティックだが、現実は真逆である)。
とりあえず支度して「自院へGO!」と車に飛び乗ったが、道路は雪道渋滞……。いつもは15分ほどが3時間かかった。一足先に出発していた院長も、当然、診療開始に間に合わず、グループLINEで状況を確認し、患者さんにお待ちいただくか、予約変更いただくかを指示していた。

ようやくサマンサも到着してみると、駐車場も大量の雪で覆われ、除雪作業を上回る降雪でまったく埒があかない。それでもスタッフと頑張って、雪のなか来院してくださる患者さんのため駐車スペース数台分を何とか掘り起こした。とはいえ、当然、受付では予約キャンセルの電話も鳴り響き……。
雪に慣れた新潟県人とはいえ、これは尋常ではないと感じていたら、公共交通機関が不通になっていることや高速道路の通行止めをニュースでも伝えていた。開業して16年経つが、ここまでの大雪は記憶になかったし、患者さんの通院も難しいと判断、その日は午後の臨時休診を決めた。
午後の予約患者さんには電話連絡で予約の振り替えをお願いし、ホームページの新着案内も更新。張り紙もつくり玄関に貼って……。最後に、留守電のメッセージに休診のお知らせを録音して早々にスタッフを帰宅させた。なお、夜に連絡が入ったが、スタッフのなかには渋滞に巻き込まれ帰宅に6時間かかった人もいた。

翌日、院長&サマンサは万が一を考慮し徒歩通勤に。片道6kmを雪に足を取られながら2時間かけて歩き、診療開始に間に合うとはいえ、開始前からすでにヘトヘト。多少なりとも道路の除雪も進んだらしく、市内中心部なら車移動も可能になったが、やはり患者さんは少ない。年末は飛び込み患者さんが増える時期だが、この大雪とその後の警戒心で22年内は例年よりはるかに患者数減……。自然災害が原因とはいえ、経営的に本当に痛い。

頭を抱えているところに追い打ちをかけて、4月からのオンライン資格確認の義務化に加え、1月26日からの電子処方せんの運用(一部施設の先行開始)などへの対応。前者にかかわる診療報酬上のウマみなど、オンライン請求ではない当院にとっては蚊帳の外。
ただ、今後を見据え、院長のHPKI(保健医療分野電子証明書)は取っておこうかな~と思って地元医師会に確認したら、手続きがちょいと面倒なことに加え、窓口である日本医師会の担当部署は手続き希望者多数で発行まで数カ月待ちと判明。これがないと電子処方せんが発行できないらしいが、そもそも、当院のようなレセコン使用施設は新たにシステムを後づけしなければならないようだ。導入に補助金が出るらしく、春までには手挙げしなければならないのに、システム自体もまだ完成してないとも耳にした。

年始も年末からの受診控えが続き、23年の出だしはよくない(泣)今年も、サマンサの悩みは尽きない年明けであった。(『CLINICばんぶう』2023年2月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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