院長婦人はコンサルタント
第83回
国の医療DX推進の流れに
いよいよ重い腰を上げる!

先月、某会合に出席されていた厚生労働大臣の講演を聞く機会があった。お題は当然、医療行政について。拝聴して実感したこと……。政府は、医療DXに本腰を入れたらしい。

2020年初頭、1日600人のコロナウイルス感染症患者の情報共有を電話とFAXで行い、わが国ITの状況はかなり悲惨だったとうかがった。国民番号制のおかげか、お隣り、韓国にも後れを取る有様。そんな現状を脱却すべく“ガチ、マジ”でDX化を目指しているらしい。
マイナンバーカードと健康保険証の紐づけは24年から。医療データの共有化を見据え、電子カルテの全国標準化&電子処方せんの開始。「ビッグデータは天然資源」――。石油のようにそのままでは使えないが、加工することでメリットとなる……とも話していた。
オンライン資格確認も道半ばだが、ここは何としても、今年度中には稼働したいものだ。そこで、「まずは自分から」と、今夏にマイナカードを申し込み、約1カ月後に市役所へ受け取りに行った。院長は別件で市役所へ行ったついでに受け取ろうとしたらしいが、すでにかなりの市民が受付と受け取りで待っていたらしく受け取り「予約」をして帰宅。後日、無事受け取ってきたが、CMで謳われているマイナポイントの手続きは、ほったらかしだ。
サマンサも、講演を聞くまでは院長と同じく「そんなに慌てずとも大丈夫だろう」と思っていたが、ついに重い腰を上げた(ちなみに、スタッフにも所有の有無を聞いてみたが、実際に持っていたのはごく一部……これが実態だわ)。

当院は、近隣の診療所に先駆けてコンタクトレンズ販売にキャツシュレス決済を導入していたというのに、肝心の院長はいつもニコニコ現金払い。明らかに、マイナポイントはキャッシュレス&オンライン決済機能でもらえるほうが簡単なので、まずはサマンサがPayPayで使ってみることにした(ちなみに、当院で一番使われているのがクレジットカードで、次にPayPay、d払い、au払いと続く)。
サマンサとて、保険証との紐づ口座との紐づけ、ポイントゲットの段となれば、結構大変!これは「高齢者では難しい」と思った。当院の高齢患者さん全員が24年までにマイナカードで資格確認なんてできるのだろうか?国がどう言おうが、現場はかなり時間を要すると思うけどね……。

実際、わが家の老親にも聞いたが、案の定、まだつくっていないとのお答え。先日も所用で市役所に行ったら、マイナカード受付には高齢者が多数待っていた。案内する市役所職員もかなり大変だろうと、正直、同情した。一般的に、(ネット社会が当たり前で育った)今の若い世代を「デジタルネイティブ」と言うが、対義語は「デジタルイミグラント」(いわゆるアナログ世代)と呼ぶらしい。
当院の院長にも指南し、PayPayのダウンロード、各種紐づけ、マイナポイントゲットと、ミッション成功!(まずはサマンサが)やってみて、言って聞かせ、(院長に)させてみて、ほめてやらねば、人(院長)は動かじ……。「院長エライ!!」と呟くサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2022年12月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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