院長婦人はコンサルタント
第78回
診療所も自院を発信する
インフルエンサーになろう!
毎年恒例、春の学校眼科健診。院長とサマンサは昼休憩にいくつかの担当校を回っている。学校検診予定日は、各学校から新年度前にアポをもらう流れで決めるが、気の早い学校は、年明け早々に連絡がくることも。学期を迎えれば学校側も行事予定が立て込むし、ましてや内科、耳鼻科と検診は眼科だけではないからだろう。
月曜日は、休日明けで当院も含めて医療機関はどこも混雑傾向、火曜日は午前の患者さんが落ち着いてから、手術説明に入る。昼休みを削り、すぐに午後診へ突入。水曜日は手術日のため検診には出られないし、木曜日も術後検査などで診療時間は押し気味になる。
必然的に金曜日の昼休み以外選択肢がないということで、4~7月の間に分散実施して乗り切っている。コロナ禍では、検診前日に学校から陽性児童・生徒の連絡が入り、検診開催の有無確認もあったが、1人陽性者が出れば学級閉鎖だった少し前に比べると、かなり通常に戻りつつある。
そんな感じで過ごすサマンサだが、実はインスタグラマーであり、セミナー講師の顔も持つ!2019年末は500フォロワーだったアカウントは、わずか2年で5万越えまで成長させた。ちょうどコロナ禍が始まるまさにそのタイミングで、インフルエンサーへの道を突き進み始めた。
社会の停滞と反比例して、ますます勢いづいたのが、このSNS。Twitter、Facebook、InstagramにYoutube、最近ではTikTokもメジャーで、多くの人がコミュニケーションツールとして活用している(昨年サマンサが開催したミセスコンテストの、当時99歳参加者もFacebookユーザーで、サマンサとの連絡はもっぱらメッセンジャーだった)。
サマンサもこのスキルを活用してみようと考え、年明けから個人向けインスタセミナーをオンライン・リアルで開催している。口コミだがチラホラ問い合わせがあり、やはり受講希望者は首都圏や大都市圏の方々で、地方ではいまだにSNSに及び腰のようだ。
InstagramとFacebookを傘下に持つメタ社は、今年3月からインスタをビジネス活用する無料セミナーを開催している。中小企業整備基盤機構も講演しており、実際に東京都も同セミナーをバックアップし、ビジネスオンラインセミナーもすでに開催されている。
医療機関のなかにも(主に美容外科だが)、Instagramを使っているところもある。あくまでホームページを補完するアナログ的な立ち位置だったり、患者さん向けのファン通信という使い方だろう。
SNSは基本無料で使えるツールだが、とりあえずアカウント開設・投稿してみた──ではまったく拡散されない。無料で誰でも使えるからこそ、しっかり仕組みを知らないと結局続かないのだ。サマンサも実際に、インスタのミッションを理解し、そのアルゴリズムを探りながら運用している。
故・スティーブ・ジョブズ氏の言葉に、「いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければ、ないのと同じ」というものがある。医療機関にも、自院を発信する取り組みがますます必要になるだろう。インスタ“いいね”回りをしながら、深くうなずくサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2022年7月号)