院長婦人はコンサルタント
第74回
視能訓練士の移籍宣言!?
次代はめぐり“人財”もまためぐる

より一層の感染急拡大の一方、当院では、3回目のワクチン接種をスタッフ全員無事に完了。受付時の問診でも、高齢患者さんが3回目の接種予約を教えてくれる。報道でも流れているとおり、3回目に向けて「着実に進んでいるのだなぁ」と実感。

しかし、ここまで長引くと、果たしてアフターコロナでは元の生活にすんなり戻れるのか?なんて考えてしまう。院長も市民向けアレルギーセミナーを毎年2月に講演しているが、昨年と今年はオンラインで開催。一応、会場は押さえてあるそうで、参加者は自宅、または指定の会場でセミナーを視聴することもできる。
院長も、セミナー用音声入りスライドを頑張って作成していた。臨場感に欠けるとはいえ、地方在住の身には、移動の時間と費用がかからないこうしたセミナーは魅力的でありがたい。
ただ、私が危惧するのは、仕事以外に、趣味でもお金と時間の捻出が億劫になり、「何となく腰が重い……」と感じることが、アフターコロナの社会生活復帰の足を引っ張る気がする。所詮景気の「気」ってマインドですものね。

こうして煮え切らない毎日を送っていた折、事務長サマンサに大きな試練発生!ある日の診療後、視能訓練士の1人から「ちょっとお話が……」との一言!!この言葉に、今までどんなに恐ろしい思いをしてきたことか……。
院長と2人で話を聞いたところ、今春で当院を退職し、近隣にできる診療所に移りたいとのことだった。急展開に動揺しきりではあるが、「当院の待遇等で不満があるの?」と聞いたみたが、特にそうではなく新しいことを学びたいという本人の強い意向による退職願いだった。
そのスタッフはもともと、小児弱視治療をやりたいと、約10年前に近隣病院からやって来た。入職から現在までに結婚、2児を授かり、産休・育休もちゃっかり取得していたのに……。「産休・育休の付与って、診療所としてはすごく大変なことだったけど……」なんてことが頭をかすめた。
「せっかく育てたスタッフをみすみす渡すなんて!」という残念な気持ちもふつふつと湧いてくる。でも思い起こせば、当院の開業時も、近隣診療所から新天地を求めて多くのスタッフがやってきたことも事実。当時は「経験者が来てくれてうれしい限り」なんて喜んでいたが、時代はめぐり、今度は当院がこれから開業する診療所に人財を取られる立場に。
ちょっと落ち込んでいる院長に、「かつて○○先生のところからAさんやBさんが移って来たんだから。あのときの○○先生の気持ちがわかるよね」と声をかけた。

年末には院長の入院騒動もあり、当院もだんだんとペースダウンのフェーズに入ったのかな?と正直思っていた。しかし、ここで働くスタッフのためにも、働きがいはもちろん、学びがいも提供できる診療所であるべきだと思った矢先の、今回の出来事。
何年経っても新しいことを取り入れながら、院長・スタッフが一緒に進化していかないと愛想を尽かされるのかもね……なんて、反省しきりのサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2022年3月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

TAGS

検索上位タグ

RANKING

人気記事ランキング