院長婦人はコンサルタント
第73回
突然起こった院長の入院!?
自院の存続と行方を再考

あけましておめでとうございます。ついにコロナ禍3年目突入。当院にもコロナワクチン接種3回目のご案内が届いた。

今回は、診療所で一括予約ではなく、各スタッフで対応。予約は電話かLINEでアクセスできるらしいが、予約開始日にはアクセスが集中するんだろうなぁ……。平日診療時間内の午前10時からだから、サマンサも携帯片手にスタンバイ予定。第6波の影響も懸念されているし、今年も新型コロナに振り回される1年になりそうだ。

話は戻るが、2021年12月当院院長が入院&手術という大事件が発生した。結論から言えば、すでに退院し通常診療に戻っているが、一時期は本当に“ヤバい”感じだった。さすがにここでは詳細は話せないが、サマンサの奮闘ぶりったらすごかった(自画自賛)。1週間の入院だったけれど、その間患者さん対応をどうするか?スタッフをどうするか?なんてことでバタバタしていた。
スタッフは正職員のみの勤務とし、パートさんはお休みにしてもらった。そして、まずは予約患者さんに予約変更のお願いをした。
この変更がちょっと頭をひねるところで、院長の入院期間がわからないから変更先日時のご案内も難しい。取り急ぎ1週間繰り延べでお願いするよう指示をする。
正社員スタッフも全員出勤するほどの仕事量でもないし、午前組・午後組でシフトをつくらせたり、病床中とはいえ院長にも共有してもらえるように逐一グループLINEで報告させた。

あるとき、サマンサが用事をすませて自院に戻ると、エアコンのスイッチがついたまま。ほんの数日とはいえ、スタッフに緩みが出ていることに愕然とした。些細なことではあるが、放置しているとトラブルになるのだろう。今後は、LINEでエアコンや施錠も業務報告してもらうことにした。
これを踏まえ、研修として企業がよくやる手であるが、課題書籍の感想をレポート提出させることに。課題書籍は、山口周氏の『思考のコンパス』。たまたま電話があった読書マニアの業者さんから推薦してもらった一冊だ。先の見えない時代に一歩踏み出すために生きるヒントを対話形式にまとめたもので、これなら読みやすかろうと本屋で全員分購入した。
上から教えても、本人たちが気づいたり納得したりしないと組織って動かないもの。少しでも主体的な何かを感じてほしいが……。

また、経営者サマンサとしては最悪の事態も想定し、院長が今後復職できなかった場合も考えておこうと、個人事業である診療所をMS法人としてどう対応していこうか、事業売却やM&Aも視野に入れて検討した。今回、図らずとも直面した当院の行方。地域医療に貢献し尽くしての勇退なら拍手だが、道半ばの場合どうするか?また、生きがいを奪われた医師は残りの人生に気持ちをどう切り替えて歩むのか……。経営面はどうにかなっても、人のメンタルはなかなか持ち直せないだろう。

いつもは「ちょっとゆっくり休みたいものだ」と愚痴っている院長が、「明日から働かないでボケボケしてていいよー」なんてなったら、さてどうなるだろう?などと頭を抱えたサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2022年2月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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