院長婦人はコンサルタント
第72回
移ろう時代に対応する
経営マインドの所在

サマンサの今の心境は、平穏無事である。2021年11月中旬に、サマンサが携わったミセスコンテスト日本大会も無事に終了。ちょうど新型コロナも落ち着いた時期での開催となり、ほっとしている。そもそも、コロナ禍での開催に、参加者募集をはじめ運営の難航も予想されたが、ふたを開けたら大盛況でびっくりしている。
「モノ」消費から「コト」消費、この先への不安……を実感したこの2年弱、結局頼れるのは自分自身。巣ごもりしてせっせと自分磨きに勤しみ、日ごろの成績発表の場を求める女性たちが多かったということだろうか。

一方、美容の前提として健康への関心は優先事項で、新型コロナの感染状況が改善すれば、必ずや受診患者さんも戻ってくるだろう……なんて考えていたが、戻りのペースは予想に反して微々たるもの。このままでは、ニュースで流れているように、収束後も多分以前のような“元の生活”には戻らず、患者減は改善されないってことですか……。急にリアルに引き戻され落ち込んでしまう。

とはいえ、サマンサはコーチングの「コーチ」でもあり、気持ちの切り替えや目標達成のお手伝いをしている身で、そう落ち込んでもいられない。おまけに、講演会講師としても、たま~に登壇している。実は、12月にも講習会が入っており、「ポスト新型ウイルスを見据えた経営マインド」という副題で1時間ほどお話をする。
何かつかみになるような小話ないかな~と探していたら、数年前の新書で、「経営における『アート』と『サイエンス』」について考察していた本を思い出し引っ張り出した。読み返すと、新型コロナ前の発行にもかかわらず、ポストコロナを見据えたような内容でびっくりした。
分析・理論・理性に軸足を置いた経営、いわば、サイエンス重視の意思決定では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスのかじ取りはできないと述べている。21年に入り、世間で風の時代とも言われているが、直感と感性の時代らしく何となく合致する。

アートといえば、以前から当院中待合室をミニギャラリーとして活用し、定期的に掲示作品も交換している。展示場所がない新人アーティストの支援と院内アメニティーの一環で始めたが、結構スタッフから好評だ。単純に「絵を飾っているクリニックってかっこいいな」という、感性&直感から始まった院内ギャラリー。サマンサは時代の最先端を走っていたってことかなぁ。しかし、この感性&直感、結果の予想や因果関係がはっきりせず、結果判明までに時間がかかる難点も。感情は相対的に計測できないとはいえ、経営者も多様なカードを用意しないと。

前号からの案件、11月から加わった事務パートスタッフも正職スタッフとも良い感じの連携で、サマンサもほっと一安心。最近暗いことばかりが続いていたが、この点はラッキーだ。

冬に向かい、自院も冬準備。院内ディスプレイもサンタクロースやクリスマス、その後は正月飾り。どんなに経営手法が変わろうと、季節の移ろいや患者さんへの声かけなど、アナログチック&昭和チックな診療所を目指したい。(『CLINICばんぶう』2022年1月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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