DATAで読み解く今後の方向性 地域医療・介護向上委員会【特別編】
第5回NDBオープンデータを読み解く
〜外来診療の地域差2〜

前回に引き続き「第5回オープンデータ」からわかる外来診療や特定健診の実態を読み解いていく。具体的には、かかりつけ医の機能を評価する「機能強化加算」、夜間・早朝等に診療していることを評価する「夜間・早朝等加算」、処方箋の発行を評価する「処方箋料」を取り上げる。

※:厚生労働省のホームページ「第5回オープンデータ」https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000539640.pdf

機能強化加算の地域差

機能強化加算は、「かかりつけ医機能」を評価するため2018年度診療報酬改定で新設された加算であり、施設基準の届け出には、地域包括診療料や在宅療養支援診療所の届け出を行っている必要がある。機能強化加算の算定にはどのような地域差があるのだろうか。

図1は、都道府県ごとの人口1000人当たりの機能強化加算算定件数と初診料に占める割合を示したものである。全国平均は、件数が200件、割合が10%となっている。地域差はやや西高東低の傾向がみられ、件数の最大と最小の比は3.9と格差が大きかった。当該加算は、初診時にのみ算定できるが、対象疾患に制限はないこと等から、加算件数が多いことをもって、地域のかかりつけ医機能が充実しているとは必ずしもいえない。初診の最大(東京都)と最小(岩手県)の比は1.5であったことを考えると、かなり大きな差異であり、機会があれば、深掘りしてみたいと思っている。

夜間・早朝等加算の地域差

夜間・早朝等加算は、病院の救急外来の負担を軽減するため、早朝や夜間、土曜の午後や日曜といった時間に通常診療を行っている診療所を評価する加算である。当該加算が算定されている地域はどのような特徴があるのだろうか。

図2は、都道府県ごとの人口1000人当たり夜間・早朝等加算の算定件数及び初診料に占める割合を示したものである。全国平均は、件数が101.3件、割合が5%となっている。件数の最大(東京都)と最小(長崎県)の比は7.6になっており、地域格差の大きい項目の一つといえる。東京、大阪、愛知といった都市部で算定が多いことは、平日日中に忙しいビジネスパーソン向けに早朝・夜間・土日等の時間帯に診療を行う診療所が多いことが推察される。それだけ競争が激しいということかもしれない。

院外処方・院内処方の地域差

図3は、都道府県ごとの人口1000人当たりの処方件数と当該件数に占める院外処方の割合を示したものである。ここでの処方件数とは、「院外処方」である処方箋料と「院内処方」である処方料の算定件数を合計した値である。
全国平均は、処方件数8052件、院外処方76%となっている。地域差をみると、全般的に西高東低の傾向がみられ、院外処方割合の最大(神奈川県)と最小(福井県)の比は1.7になっている。処方件数は、初診・再診の傾向と同様に、西高東低の傾向が見られたのは予想通りであった。処方日数の平均値が地域によって異なることも推察される。一方、院外処方割合の地域差も意外と大きかった。割合が高いところでは、いわゆる「医薬分業」が進んでいるということであろうが、福井県のように52%でも成り立っているのは興味深い。

ポリファーマシーの地域差

薬物の副作用や服薬アドヒアランスの低下等、特にポリファーマシーになりやすい高齢者において、さまざまな有害事象が発生しているとされている。NDBオープンデータでポリファーマシーの現状に迫ってみたい。

図4は、都道府県ごとの人口1000人当たり7種類以上内服薬または向精神薬長期処方と処方に占めるその割合を示したものである。全国平均は232.7件、2.9%となっている。全般的に北海道・東北・中国・四国・九州で高い傾向がみられ、割合の最大(北海道)と最小(愛知県)の比は2.0になっている。処方の傾向に地域差があることを示しており、地域で改善に向けた取り組みを進めていくべきではないだろうか。なお、1人の患者が複数医療機関から処方されている場合等、実際はより多くのポリファーマシーが存在している。そのあたりは、実際のレセプトを用いた研究が求められる。(『CLINIC ばんぶう』2021年5月号)

石川雅俊
筑波大学医学医療系客員准教授
いしかわ・まさとし●2005年、筑波大学医学専門学群、初期臨床研修を経て08年、KPMGヘルスケアジャパンに参画。12年、同社マネージャー。14年4月より国際医療福祉大学准教授、16年4月から18年3月まで厚生労働省勤務