院長婦人はコンサルタント
第61回
コロナ禍で迎えた年末年始
心機一転で原点に立ち返る
本稿を書いている2021年1月初旬、2回目の緊急事態宣言が発令。地方感染者は首都圏や近畿圏に比べ少ないとはいえ、万が一にも感染すれば”魔女狩り”のような状況になるため、社会的リスクは大きい。東京の様子を毎日ニュースで見ていると、暗澹たる気持ちになる。
院長やスタッフが感染する事態も恐ろしいが、患者さんで来院した後日に「新型コロナ陽性が判明」なんてことも起こり得る。実は、知り合いの診療所で実際にそうした事態があった。幸い、濃厚接触者には該当せず事なきを得たようだが、「明日はわが身」の可能性も。
そうしたなか、当院はこの年末年始(12月31日~1月3日)は、地域の眼科休日診療当番だった。地域の診療所が日祝祭日やGW、お盆休暇などに当番を割り振られる。一昨年末に今回の当番表を見た際は、「年末年始はどこにもお出かけできないわぁ」と少し残念だったが、当番が近づくにつれ、「結局どこにも行けないしなぁ……。今年でよかったかも」と、ちょっぴりラッキー感すら覚えたのに。
いざふたを開けると、大晦日の12月31日、結構患者さんが来院!!院長とサマンサの2人だけなのでアタフタ。おまけに、新患さんの来院でカルテ入力やら久しぶりに大慌てのサマンサ。なかには、体温38度台の「まぶたが腫れた」という患者さんも来院するし……。
「まいったなぁ~、何で大晦日に来るかなぁ……。それも当番のときに」と、心中で思いっきり悪態をついてしまった。いろいろ体調を聞いてみたが、言いたくないのか隠しているのか、目の腫れ以外のことは言わないし。院長に相談して、その方には風除室のベンチに座ってもらい、診察と会計をして速やかにお帰りいただいた。
その後も、元日以外は休日診療フル稼働。視能訓練士がいないので検査がよくできないし、「最悪、レーザーかなぁ……」なんて患者さんも来院されて。とにかく、院長とサマンサは頑張りました。
そんな休み明け、通常診療に戻ったのに、患者さんは例年より少ない気がする。昨年12月の合計保険点数も対前年に比べ減っているし……。この調子では、今年はだらだらと減収が続く予感。「何か打つ手はないか?」と考えていたところ、友人からお誘いを受けていた講演会があり、参加してみた。
演者は、「私が社長です!!」のセリフで有名な某ホテルチェーンの女性社長だ。「やっと豆腐屋になりました!!」と言っていた(つまり”一丁”ではなく、一兆”なんですって、資産が)。そして「逆境こそ光栄なる機会なり」と宣っていた(まあスーパーポジティブ)。そんな社長の話を聞きつつ、「新型コロナが長引く気配をプンプンと感じるし、医業収入も減ってくるかもだし……。何か考えねば……」と思案。
そして、こんなときこそ足元を固めるべく、スタッフの勉強会を企画しようと思い立った。私でさえ下がり傾向のマインド。この時代「どんな心構えで患者さんに接するべきか?」を、経営理念に立ち返って再確認し共有したい。
早速、顧問社労士に「スタッフ教育の助成金あるかなぁ?」と相談し、例の社長の影響を少~し受けた感じの、サマンサであった。(『CLINICばんぶう』2021年2月号)