診療所のWEBマーケティング実践記
第4回
患者さんにとって気になる・役立つHPをつくるには?

患者の大半がWEBで診療所を検索する時代。WEBマーケティングは、診療所が継続的に取り組むべき重要な戦略の一つだ。本企画では、実際に取り組む診療所のエピソードから、診療所のWEBマーケティングを学ぶ。今回は、患者の受診行動につながるHPをつくるうえでのポイントを紹介する。

今回からは、診療所のHPから受診行動につなげること(コンバージョン:CV ※1)について、お話しさせていただきます。

患者さんに自院のHPを見に来てもらっても、そこから実際に受診してもらうまでには、ハードルがあります。前回までも繰り返しお伝えしてきましたが、いかにアクセスがあっても、患者さんとして受診してもらわなければ意味がありません。
受診行動につなげるため、どのようなことがHPで大切になるのか、また、それを実践するには具体的にどうすれば良いのか、見てみましょう。

「中身」を見てもらうには。「見た目」の第一印象が重要

HPも人間と同じで、「見た目」と「中身」の両立が大切です。世の中は理不尽なもので、美男美女は多くの人が視線を移しますが、見た目が悪いとどんなに内面が良い人でも、スルーされてしまいます。HPでもデザインはとても大切で、トップページを見たときに「見やすい」という印象をいかに与えるかが肝要です。

多くの人はよほど関心がないと、スクロールし深く読み込むことはありません。冒頭でユーザーに「読みたい」と思わせるサイト構造が必要です。
そのためには、。線の動きへの。慮、フォントや色合いなどの印象、画像素材の配置など、さまざまな要素があります。
たとえば、目線の動きなら、昔は「Fを書くように視線が移る」と言われ、その動きを意識したサイト設計が行われていました。ただ、最近ではスマートフォンとPC両方に対応したレスポンシブデザイン(※2)が当たり前となり、スクロールして上から下まで見ることができる設計が主流となっています。こうしたトレンドは、時代とともに移り変わるため素人には難しく、WEBデザイナーさんのカ量に大きく左右されます。以前、私が個人のWEBデザイナーさんにHPの制作を委託した際は、「ここまで深く考えられているのか」と、細部まで行き届いた提案に感心したものです。
そのうえで、今度は「中身」の工夫です。コンテンツを読んで、「受診したい」と思っていただく必要があります。

ここで、大変失礼ながら「見た目」が良いとは言えませんが、すばらしい内容のHPをご紹介させてください。横浜相鉄ビル眼科病院様の、「霰粒腫(さんりゅうしゅ)の治療と患者さんの体験談」(※3)というページです。読者への共感と筆者のお人柄がにじみ出ている冒頭の文章を引用させていただきます。

「私事で申し訳ありませんが、私の妻がよく霰粒腫にかかります。妻に泣き付かれては手当てをして間近で経過を見ているうちに、霰粒腫というものがいかに患者さんを深く悩ますものか、そして、霰粒腫の治療はいかにすればよいかを深く知りえるようになりました」
その後も、「私の家族だったら……」というイメージで、霰粒腫の治療を中心とした疑問点に、丁寧にお答えしています。このページを読んでいると、目のできものに困っていたの思わず受診したくなってしまうかと思います。

院長目線の内容ではなく患者目線にコミットする

このように、CVを高めるためには、訴求したい患者さんにあったデザインと、共感性や親近感を生むコンテンツが大切といえます。それでは、その両立を実現するには、具体的にどうすればよいのでしょうか?

まず、「見た目」のデザインですが、これはプロに任せるよりほかありません。いろいろなHPを見て、気に入ったデザイン、ご自身が訴えたいイメージに合うHPを探してみてください。HP制作の依頼にあたっては、好みのデザインとユーザーに与えたいイメージを伝えたほうが、よりよいHPができあがると思います。

依頼するHP制作会社は数多あると思いますが、過去の実績例などに診療所が掲載されていれば、「地域+診療科」で検索してその診療所が上位表示されるかで、制作会社の力量は推測できます。
次に、「中身」のコンテンツの場合、院長自ら書かなければなりません。その際大切なのは、受診する患者さん(ペルソナ)の視点に立って、コンテンツを作成することです。これは意識しないと、どうしても自身の強みを中心に書き進めてしまいがちです。
もちろん、強みも大切ですが、冒頭で心をつかんでいることが前提です。適度に親近感や共感性を交えた文章から始めて関係性を築いてから、自らの強みを伝えていく過程が重要です。患者さんのストーリーと診療所のストーリーがつながることで、患者さんに受診してみようと思ってもらえます。

CV率向上のため常にPDCAサイクルを回す

ここまで、HPのCVをいかに高めるかについてお伝えしてきました。この精度を高めていくためには、効果計測をして、PDCAサイクルを回さなければいけません。
たとえば、広告を打つ場合には、予約に関係するクリックなどにコンバージョンタグを設定し、クリック数に対しどれほどの方が行動を起こしたか効果測定ができます。計測・変更しながらCV率を高めていけば、ターゲットとなる患者さんに最適なHPができあがっていくでしょう。
患者さんにとって、医療機関を変更する敷居は思ったよりも高いです。その一歩をHPで超えていただくには、HPで患者さんに寄り添っていく努力が必要です。

最後に、許可をいただいたので、私がお願いしているHP制作会社である、株式会社メディウィル様をご紹介します。
私が同社を選んだ一番の理由は、「いしゃまち」というメディアを運営されていたからです。いろいろな面でお世話になっていますが、なによりもコンテンツの提案力がすばらしく、ここまでコンテンツ内容にコミットしてくださる制作会社さんは他にありませんでした。デザインも私には申し分なく、プロの仕事に大変感謝しています。
ランニングコストは多少高めかもしれませんが、サーバーやワードプレスのアップテートなどのサイト管理もしっかりと行っていただけるので、とても安心してお願いできています。(『CLINIC ばんぶう』2020年10月号)

※1:「CV(コンバージョン)」とは、WEBマーケティングにおいて、WEBサイトにおける最終的な成果を指す用語である。(CVの例:商品購入、会員登録、問い合わせ数、予約など)

※2:「レスポンシブデザイン」とは、デバイスのウインドウ幅に反応して自動的にWEBサイトを最適な表示に切り替える仕組み。1つのWEBサイトでマルチデバイスに対応できるため、PC版やモバイル版など、デバイスごとのサイトの構築が必要なくなる。

※3:http://aikeikai.jp/chala.htmを参照

大澤亮太(元住吉こころみクリニック代表医師)
おおさわ・りょうた●山梨大学医学部卒業。国際医療福祉大学附属病院臨床研修、神奈川県内の精神科病院・診療所で勤務しながら産業医活動を開始。中央省庁や多数の民間企業で嘱託産業医を務め、2017年4月、元住吉こころみクリニックを開院。産業医グループこころみの副代表として、産業医としても活動している。