診療所のWEBマーケティング実践記
第3回
膨大な情報からどうやって患者に自院をみつけてもらう?

患者の大半がWEBで診療所を検索する時代。WEBマーケティングは、診療所が継続的に取り組むべき重要な戦略の一つだ。本企画では、実際に取り組む診療所のエピソードから、診療所のWEBマーケティングを学ぶ。

費用対効果からもWEBによる集患は有用

今回は、「ターゲットの患者さんにどのようにして自院を見つけていただくのか」について、お伝えしていきます。前回、患者さんの意思決定を「認知」→「興味」→「閲覧」→「記憶・欲求」→「行動」の5段階に分けましたが、これは「認知」に当たる段階です。
はじめに、「WEBを理解することは、集患のうえで最重要」であることをお伝えします。当院でも問診票の最後に来院動機の設問を設けていますが、回答の7~8割は「インターネット」となっています。当院は地域の基幹病院との連携も非常によく、駅チカの唯一の医療モールの内科であるにもかかわらず、この結果なのです。
紹介や看板などを含むローカル広告が無意味とは思いません。ただ、WEBは費用対効果がきわめて高い広告ツールであるとご理解いただきたいです。
その前提のもと、WEB上で患者さんに「認知」してもらうには、次の5つの方法があります。

・オーガニック検索(SEO)
・Googleマップ(MEO)
・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・SNS(Facebookやtwitterなどの広告)

それぞれについて、当院における実際の取り組みも含め、ご紹介していきましょう。

患者の「認知」につながるWEB広告手段5選

オーガニック検索(SEO)

WEB検索をすると、検索結果のページ上部にはまず、【広告】が表示されます。そして、それ以降に検索エンジンがおすすめするHPが順番に表示されています。
日本でメジャーな検索サイトといえば、GoogleとYahoo!ですが、後者は前者の検索エンジンを利用しているので、実際は「いかにGoogleの検索エシジンに好かれるか」が、SEO対策の要です。ただ、アルゴリズムはブラックボックスであるかつ、随時アップデートされています。よって、検索順位も時折大きく変動し、SEOだけに頼った集患はリスクがあると言えます。
とはいえ、少なくとも「地名+診療科目」の検索結果で地域1位を押さえておきたいところです。体感ですが、検索順位1位を40%の人がクリックするとしたら、2位20%、3位12%、4位7%、5位5%程度でしょう。勝者がすべてを得る世界なのです。
当院のHPは、開設のタイミングで取得したドメインで、作成時点では検索順位圏外でした。そこで、私の場合は開業前に運営していた別のHPのコンテンツが大量にあったので、それを当院HPへ移し替えていき、内容の充実を図りました。それからは、コンテンツからのアクセスが高まっていき、「元住吉+内科」で長らく1位をキープできました(なお、現在は今年1月に2位へ陥落、4月からは3~4位を低迷中です)。

また、「元住吉+内科」で検索している方、病院を受診しようとしている人が多いなかで、当院HPは「心療内科の情報サイト」と認識されているとも思われます。
Googleの基本的な考えは、ユーザー目線での最適化です。このため、受診したいと思っている地域の人たちの目線に立ち、必要とされる情報を提供できる最適な構成を考え続けることが大切です。
そのほか、Yahoo!と異なりGoogleの検索サイトは検索ボックスだけの非常にシンブルな設計です。ユーザーにとって無駄な情報は、マイナス評価としている傾向を感じさせます。あとは、外部リンクはそのHPが有用である証にもなります。以前に比べ効果は弱まっていると言われていますが、ある程度外部リンクを獲得することも必要でしょう。

Googleマップ(MEO)

近年は、Googleマップからの流入も非常に多いです。当院でも、1カ月のうち検索流入が1.95万、マップ流入が2.1万となっています。そこで、まず基本ですが、「Googleマイビジネス」(※1)に登録しましょう。未登録の診療所も多いですが、登録および運用は非常に簡単です。MEO対策は、マイビジネスの充実と口コミがすべてになります。
特に、ローカルビジネスである診療所にとって、マップに表示されるかどうかは非常に重要です。業者に頼むまでもありません。

リスティング広告

リスティング広告とは、Googleの検索ワードに対してかける広告になります。これについては、医療機関の広告規制としてグレーなところもありますが、今のところ放置されています。過激なワードの広告文でなければ大丈夫かと思います。

運用は、GoogleとYahoo!でそれぞれ異なります。業者に頼むと運用手数料の2割ほどが相場になります。悪徳業者ではCV(※2)の悪いキーワードで運用利益をあげています。固定費としているところも、利益がでるように調整しています。私は絞り込み部分一致なども活用して自分自身で運用していますが、わからない方は「地域名+診療科」のキーワードだけを完全一致で押さえるだけでも十分かと思います。

ディスプレイ広告

ネットサーフィンをしていると、記事の途中に広告か入ることがあるかと思います。こちらがディスプレイ広告です。YouTubeも今やGoogleのサービスですから、視聴前に表示される動画広告も、Googleのディスプレイ広告となっています。こちらは、広域から患者さんを集められるような独自のサービスがある場合には有効かと思います。通常の診療を行っている限りは、効果が薄いかと思われます。

SNS(Facebookやtwitterなどの広告)

SNS広告については、使うSNSの特徴によってターゲットも変わります。通常の診療スタイルであれば、Facebook広告を検討するくらいでしょうか。当院では1年目の冬場に、Facebook広告を行いました。
利用した理由は、居住地が登録されているのでそのユーザーに対して広告をかけられる点にあります。当院は祝日除く毎日夜8時まで診を掲げておりましたので、この地域住民に認知してもらえることで見込み顧客を獲得することが重要と考え、エリアを少し広めに設定し、繁忙期となる冬前に広告を打ちました。
このような目的でしたので、広告効果を分析はしておりませんが、一定の効果はあったように感じています。(『CLINIC ばんぶう』2020年9月号)

※1:「Googleマイビジネス」とはGoogleが提供する無料ツールで、店舗情報等を登録することで検索結果ページ上部やマップ上にその情報が表示されるほか、タイムライン投稿やレビュー時能も利用できる。

※2「CV(コンバージョン)」とは、WEBマーケティングにおいて、WEBサイトにおける最終的な成果を指す用語である。(CVの例:商品購入、会員登録、問い合わせ数、予約など)

大澤亮太(元住吉こころみクリニック代表医師)
おおさわ・りょうた●山梨大学医学部卒業。国際医療福祉大学附属病院臨床研修、神奈川県内の精神科病院・診療所で勤務しながら産業医活動を開始。中央省庁や多数の民間企業で嘱託産業医を務め、2017年4月、元住吉こころみクリニックを開院。産業医グループこころみの副代表として、産業医としても活動している。