東京都内にある医師会が相次いで「在宅医療の24時間体制強化」に向け民間企業と連携
2024/03/24更新
医師不足といわれるなか、東京都内にある医師会と民間企業が連携し、在宅医療の24時間体制強化を目指していく取り組みが相次いで発表されました。
ファストドクターfor Medical
ファストドクター株式会社(東京都)は22日、今年2月から江東区医師会と在宅医療の24時間体制強化に向けての協力を開始したと発表しました。
この取り組みは東京都が主導する「在宅医療推進強化事業」の一環で、2040年の高齢化ピークに備え、地域医師会と事業者が協力して24時間体制の強化を図るものです。
在宅医療推進強化事業におけるファストドクターと各地区医師の連携は江東区医師会が2例目となります。
2023年に始まった「在宅医療推進強化事業」では、在宅医の負担が懸念される「24時間体制の構築・強化」において、夜間や休日に往診を行う医療機関との連携や、デジタル技術の利活用が推奨されています。
こうしたなか、江東区では、在宅医療に取り組む会員医療機関による「主治医−副主治医調整委員会」を毎月開催し、主治医が休暇や学会参加など、在宅患者の往診要請に対応できない場合に、副主治医がその役割を担う互助体制の構築を進めています。
また「江東区在宅医療連携センター」にて主治医ー副主治医の互助体制のサポートおよび新規在宅患者の受け入れ調整や在宅主治医の紹介を行っています。
一方、ファストドクターは、在宅医療を担う医療機関の安定的な24時間体制を支援することを目的に、夜間・休日など負担の大きい時間帯を対象にオンコール・救急往診や看取りなどを代行する 「ファストドクターfor Medical」を展開しています。
そのファストドクターが、今回の協力開始に伴い、調整会議で対応が困難な夜間や休日にバックアップを提供。主治医の医療機関の医師として往診や看取りを代行することで、主治医と患者の信頼関係を守りながら地域の取り組みが持続可能となるよう支援していくといいます。
連携の際には、主治医との連携ツール「クリニックポータル」を活用。主治医などの電子カルテシステムとAPIで連動し、リアルタイムで主治医などと患者情報を共有します。
なお医師による医療相談を含む医療行為は、ファストドクターが提携する医療機関所属の医師によって行われ、 ファストドクターが医療行為を行うものではありません。
オンコール代行サービス「ON CALL」
西東京市医師会も、「在宅医療推進強化事業」の一環である24時間診療体制の構築を推進するために、株式会社on callが提供しているオンコール代行(※)サービス「ON CALL」の導入を決定しました。株式会社on callが19日に発表しました。
24時間診療体制の構築には、地域が一体となって24時間365日サービスを提供できる体制づくりが不可欠ですが、その一翼を担う診療所では夜間・休日における医師のリソースが不足しているほか、医師の高齢化などが課題となっています。
こうしたなか、オンコール代行サービス「ON CALL」を活用して、西東京市医師会所属の医療機関が訪問診療を行なっている患者を対象に、一部の夜間・休日における緊急時のオンコール対応を「ON CALL」に任せることにしたといいます。
往診は、医師に往診ディレクターが同行する2名体制です。
これにより、西東京市医師会は、在宅医療に取り組むかかりつけ医の連携、輪番体制に加え、オンコール代行サービス「ON CALL」を活用し、24時間体制の在宅医療支援基盤の構築を目指していきます。
(※)オンコール:在宅医療機関がかかりつけの居宅や施設にいる患者に対して、24時間365日いつでも緊急対応できるように医師を待機させている状態のこと。