栄養経営士になろう
入院栄養管理、給食管理の分業化で業務効率化を実現
管理栄養士全員が全てを担当する“全員野球型”から担当分業化で効率化。事務担当新設で本来の業務に専念。昼食のミールラウンド実施で細やかな栄養管理。
厨房業務から管理栄養士は離脱
立川中央病院は115床、15科の地域包括医療病棟を持つ2次救急指定病院。管理栄養士6名、栄養士2名、臨床調理科(調理師4名、パート9名)をまとめる宮原さんは、前の勤務先にいた2018年に栄養経営士の資格を取った。当時の上司が栄養経営士で自分も取ろうと思ったという。
昨年にこちらに来てから、栄養経営士の視点で体制変更を主導した。立川中央病院は、食事は直営で以前はローテーションで管理栄養士1名と栄養士1名、調理師5名が厨房で毎日の入院患者と職員分330食をつくり、毎食食器洗浄にまで管理栄養士が参加していた。また、入院患者の栄養管理も管理栄養士5名がローテーションで回していた。宮原さんは、この体制では入院患者への対応が万全ではないと感じ、管理栄養士の担当を完全分業化、病棟担当を2名、給食を3名とした。直営の給食を強みとする、この病院ならではの配置だ。

地域包括医療病棟になったことで、病棟担当の業務は、入院患者のGLIM基準評価など以前より増えており、分業化は必須と考えたそうだ。これまでは、看護師や言語聴覚士から患者の食事の変更について相談されることが多かったが、病棟担当制になってからは、患者の様子を見たり、話を直接聞いたりし、より早く対応できるようになったという。また、厨房業務に管理栄養士が関わる体制を改めたほか、大きく改善できたのは、管理栄養士が関わっていた伝票処理や物品発注などの事務は、毎日事務員をおいてもらい、本来の業務に専念できるようになったことだ。
直営給食へのこだわりは、立川中央病院のグループ内に介護老人保健施設やデイサービス施設があることとも関係しているが、食事について入院患者の個別事情や嗜好に対応しようという姿勢のあらわれでもある。昼のミールラウンドを行い患者の声を吸い上げるほか、嚥下に問題のある患者には言語聴覚士と連携して、速やかな対応がとれるように心がけているとのことだ。入院患者の家族から好きな食べ物を聞き取り、入院食に反映させることもしている。少量しか食べることができない患者には、補助食品や経腸栄養剤の投与など病棟担当の管理栄養士がいることで、速やかに対応できるようになったことも多い。
昨年、転職してきた後に取り組んでいることの一つには、給食のコスト管理の強化もある。少量で高カロリーな完全調理済食品の導入などで改善に向かっているという。これも栄養経営士の面目躍如の一面だろう。
宮原さんは、病院の方針もあり、管理栄養士として地域に貢献することにも心がけているという。その一つが同じ地域の病院、高齢者介護施設、保育園、企業、官公庁に在籍する管理栄養士と栄養士が集う給食協議会をつくり、地域住民むけのイベントを催していることだ。今年8月の夏休み期間中には、ショッピングモールで「わたしたちの食事展」という名で、体脂肪測定や毎日の食事の栄養バランスがとれているかどうかの診断など、家族で楽しんで学べるイベントを行った。
また、地域包括ケアシステムの対応としては、地域の栄養士会として栄養ケア・ステーション、医療・福祉施設、官公庁、NPO法人、企業とのネットワークをいかして、災害時の支援体制構築を目指している。地域の高齢者の生活を支えるには医療や介護だけではなく、栄養サポートの視点も必要だ。
病院内での今後の目標として宮原さんは、「管理栄養士は医療職として認められたばかりだがもっと活躍できる職種であると確信している。さらに患者に寄り添い入院中はもちろんだが退院後も患者さんが困らない栄養ケアを実施していきたい」とその抱負を語っていた。(『ヘルスケア・レストラン』2026年1月号)
医療法人財団立川中央病院
臨床栄養科長

